留守番が苦手な犬の慣らし方
- 出かける支度の合図に慣らす
- ひとりの時間は1秒から延ばす
- 40分を超えたら延ばす幅を大きくする
- 出かける直前に食べ物を詰めたおもちゃを渡す
- 出かけるときも帰ったときも淡々と接する
- 出かける前に散歩で体を動かす
- 不安なサインが出たら前の段階に戻る
出かける支度の合図に慣らす

鍵を持つ・靴をはく・コートを着る・かばんを持つといった支度は、犬にとって「これからひとりになる」合図です。犬は何年もかけて合図の意味を覚えているので、支度を見ただけで落ち着かなくなります。
慣らすには、支度をしても出かけない経験を何度も見せます。たとえば鍵を持ったら出かけずに台所で夕食を作ります。コートを着たら、出かけずにソファに座ってテレビを見ます。
支度の合図に慣らす練習
| 支度の合図 | 出かけずにすること |
|---|---|
| 鍵を持つ | 台所で夕食を作る |
| コートを着る | ソファに座ってテレビを見る |
| 靴をはく・かばんを持つ | 順番を変えて、出かけずに家で過ごす |
支度の順番を変えながら、1日に何度も繰り返します。合図を見ても落ち着いていられるようになるまで、何週間もかかります。支度を見ても不安にならない犬は、支度の練習を飛ばしてひとりの時間を延ばす練習から始めます。
ひとりの時間は1秒から延ばす

留守番の練習は、犬が不安になるより短い時間だけ離れることを繰り返して進めます。不安を感じる前に飼い主が戻ってくる経験を重ねて、ひとりでいても何も起きないことを覚えていきます。
ひとりの時間は1〜2秒の不在から始めます。ドアの外に出てすぐに戻るくらいの短さです。いきなり5分や10分から始めると、犬は不安を感じたまま待つことになります。
ひとりの時間を延ばす順番
- 1〜2秒ドアの外に出てすぐ戻る
- 5〜10秒出る直前に食べ物を詰めたおもちゃを渡す
- 数秒ずつ延ばす1回ごとか数回ごとに。練習の間は数分あける
- 40分ここまでがいちばん時間のかかる所
- 5分刻み40分を超えたら延ばす幅を大きくする
- 15分刻み慣れてきたらさらに大きく
- 90分さらに長い留守番に進める
段階を細かく分ける方法もあります。最初は犬をベッドで待たせて、飼い主はそばにいます。次に少し離れてから戻ってほめ、離れる距離と時間を少しずつ延ばします。ドアの外に出てすぐ戻れるようになったら、ドアを閉めて外に出ます。
慣らし始めの細かい段階
- ベッドで待たせる飼い主はそばにいる
- 少し離れて戻る戻ったらほめる
- 距離と時間を延ばす少しずつ離れていく
- ドアの外に出てすぐ戻る
- ドアを閉めて外に出る
延ばす幅は、1回ごとか数回ごとに数秒ずつです。1回の練習と次の練習の間は数分あけ、犬が完全に落ち着いてから次に進みます。練習は週末なら1日に数回、平日なら出勤前と夜の2回ほどが目安です。
練習の回数の目安
すでに数分なら落ち着いていられる犬は、落ち着いていられる長さを出発点にします。そこから数日〜数週間かけて、少しずつ長くしていきます。
40分を超えたら延ばす幅を大きくする

不安な反応のほとんどは、ひとりになって最初の40分以内に起きます。40分までがいちばん時間のかかる所で、数秒ずつ延ばす練習を根気よく続けます。
不安な反応が出る時間
40分を落ち着いて過ごせるようになったら、延ばす幅を大きくできます。最初は5分刻みで延ばし、慣れてきたら15分刻みにします。90分を落ち着いて過ごせるようになれば、さらに長い留守番にも進めます。
1時間まで平気で過ごせるようになった犬は、1時間より長くひとりにしても大丈夫なことが多くなります。延ばしていく途中で不安なサインが出たら、ひとつ前の長さに戻ります。
分離に関わる問題のある犬8頭に少しずつ慣らす練習をした研究では、問題行動の回数も重さも大きく減りました。3か月後に確かめられた6頭では、問題行動がほとんど見られなくなっています。練習が終わるまでには、数週間から数か月かかります。
出かける直前に食べ物を詰めたおもちゃを渡す

5〜10秒ひとりでいられるようになったら、出る直前に食べ物を詰めたおもちゃを渡します。食べ終わるまで20〜30分かかるおもちゃを使うと、ひとりの時間を楽しい時間と結びつけられます。
特別なおもちゃは出かけるときだけ出して、帰ったらしまいます。いつでも手に入るおもちゃにすると、出かけるときの楽しみになりません。中に詰めるおやつは、1日に食べる量から引いておきます。
食べ物を詰めたおもちゃの使い方
食べ物を詰めたおもちゃが効くのは、不安の軽い犬だけです。不安の強い犬は、留守中にはふつう食べ物を口にしません。飼い主がいるときは食べるのにひとりのときだけ食べないなら、退屈ではなく不安を感じています。
ほかの犬と暮らす家では、食べ物を詰めたおもちゃを犬どうしで取り合うことがあります。
出かけるときも帰ったときも淡々と接する

出かけるときは、頭をなでて「行ってきます」と言って出ます。帰ったときは「ただいま」とあいさつし、犬が落ち着くまではかまいません。出入りを大げさにしないほうが、犬は飼い主の外出を特別な出来事と感じにくくなります。
出かけるときと帰ったときの接し方
淡々と接するのは、犬を無視することとは違います。短く落ち着いた声であいさつし、犬が落ち着いたら名前を呼んでなでます。
帰ったときに犬の困った行動にかまう飼い主の子犬は、生後6か月の時点で分離に関わる行動が出る見込みが6倍高かったという研究があります。結びつきを見た研究なので、かまうことが原因とまでは言えません。
出かける前に散歩で体を動かす

走る・泳ぐといった体をしっかり使う運動を毎日30分以上させると、留守番の練習を助けます。特に、ひとりにする直前に体を動かしておくと効果的です。
散歩は出かける30分前に家に戻るくらいの時間に行き、犬が落ち着く時間をとります。出かける少し前に軽い食事を与え、トイレも済ませておきます。
出かけるまでの流れ
- 散歩で体を動かす走る・泳ぐなど毎日30分以上の運動
- 出かける30分前に家に戻る犬が落ち着く時間をとる
- 軽い食事を与える
- トイレを済ませる
- 出かける
運動だけで分離不安が治るわけではありません。体を動かして落ち着いた状態から練習を始めると、ひとりの時間を延ばしやすくなります。
不安なサインが出たら前の段階に戻る

練習の途中で、ハアハアする・あくびをする・よだれを垂らす・震える・歩き回るといった様子が見られたら、不安を感じているサインです。黒目が大きく開くのもサインの一つです。
練習中に見る不安なサイン
- ハアハアする
- あくびをする
- よだれを垂らす
- 震える
- 歩き回る
- 黒目が大きく開く
サインが出たら、ひとりにする時間を犬が落ち着いていられる長さまで短く戻します。戻したあとは、前よりゆっくり進めます。犬が不安になるほど長くひとりにしないことが、練習のいちばんの決まりです。
ドアの外に出ているときの犬の様子は、目では確かめられません。見守りカメラで練習中の様子を見ておくと、不安なサインが出たかどうかを確かめながら延ばしていけます。
鳴いたり吠えたりする理由が、留守番のつらさではなく外の物音や退屈のこともあります。録画で確かめる方法は、留守番がつらい犬が見せるサイン 見守りカメラで確かめることの記事にまとめています。
練習中は犬をひとりで留守番させない
- 練習以外でひとりにすると不安に敏感になる
- 家族や友人に家に来てもらう
- ペットシッターに頼む
- 預かりやデイケアを使う
練習以外でひとりにすると不安に敏感になる

留守番の練習をしている間は、練習のとき以外に犬をひとりにしないことが基本です。練習で短い時間から慣らしていても、ふだんの外出で長い時間ひとりにすると犬は不安を感じたまま待つことになります。
留守番が苦手な犬は、ひとりにされてつらい思いをするたびに不安に敏感になります。敏感になるほどひとりの時間を延ばす練習は進みにくくなり、治療も難しくなります。
練習が終わるまでの間は、犬が落ち着いていられる長さを超えて留守番させない工夫が要ります。仕事や用事で家を空ける日は、犬のそばに誰かがいる形を前もって決めておきます。
練習中に犬をひとりにしない方法
| 頼む相手 | 犬の過ごし方 | 確かめること |
|---|---|---|
| 家族や友人 | 家に来てもらう | 合鍵を預けておく |
| ペットシッター | 家に来てもらう | 動物取扱業の登録番号 |
| 預かりやデイケア | 預け先で過ごす | 動物取扱業の登録番号・ケージで過ごす時間 |
家族や友人に家に来てもらう

飼い主が出かけている間は、家族や友人に家に来てもらう方法があります。犬の知っている人が家にいれば、犬はひとりになりません。
一日中いてもらえなくても、昼に一度様子を見に来てもらうだけで犬がひとりで過ごす時間は短くなります。近所に住む家族や友人に合鍵を預けておくと、急な外出のときにも頼みやすくなります。
迎えたばかりの犬や子犬も、家に慣れるまでの間は家族や友人に助けてもらいます。長い時間ひとりにしないことが勧められています。
ペットシッターに頼む

家族や友人に頼めない日は、家に来て世話をしてくれるペットシッターに頼む方法があります。散歩やごはんの世話をしてもらう間、犬はひとりで過ごさずにすみます。
ペットシッターは、動物取扱業の登録を受けている業者を選びます。登録している業者は、登録番号をホームページなどの広告や事業所の標識に載せています。
散歩を頼めるペットシッターは、家を空ける日に犬の散歩を頼めるペットシッター97件を都道府県から探すの記事で住んでいる都道府県から探せます。犬の様子を知らせてくれるペットシッターだけを選んで見ることもできます。
預かりやデイケアを使う

家に来てもらう代わりに、犬を預けて昼の間を過ごさせる方法もあります。ペットホテルや犬の保育園のように、飼い主が仕事に出ている間だけ犬を預かる場所です。ほかの人や犬と過ごす時間ができるので、留守番が苦手な犬には向いています。
ペットホテルやトリミングで犬を預かるときは、迎えに来るまでの時間をケージの中で過ごすことがあります。ケージやクレートに慣れていない犬は、預け先でも落ち着けないことがあります。クレートに慣らす方法は、クレートを嫌がる犬の慣らし方 慣れさせておく理由も解説の記事にまとめています。
ペットシッターの家で預かってもらう方法もあります。どの預け先も、動物取扱業の登録を受けているかを確かめてから頼みます。
慣らすときにしてはいけないこと
- 帰ってから叱らない
- 怒っている顔を見せない
- もう1匹飼っても解決するとは限らない
- しつけ不足のせいにしない
帰ってから叱らない
帰って部屋が荒れていても、犬を叱ったり罰を与えたりしません。留守番が苦手な犬の困った行動は、叱られるといっそうひどくなります。
叱られた犬は、次に飼い主が出かけたときに「帰ってきたら何をされるか」まで不安に思うようになります。ひとりでいる不安に帰宅への不安が重なり、かじったり吠えたりする行動が増えます。
罰や犬の嫌がることを多く使う飼い主の子犬は、生後6か月の時点で分離に関わる行動が出やすかったという研究もあります。
怒っている顔を見せない
声に出して叱らなくても、飼い主が怒っていることは犬に伝わります。留守番の練習では、怒っている様子を犬に見せないことも勧められています。
帰ったときに片づけるものがあっても、犬を先に別の部屋や庭に出してから片づけます。犬の見ていない所で片づければ、飼い主の不機嫌を見せずにすみます。
叱られた犬は頭を下げて耳を後ろに倒し、しっぽを足の間に入れます。飼い主には反省しているように見えますが、留守中にしたことを分かっているわけではありません。
叱られたときに犬が見せる姿勢
- 頭を下げる
- 耳を後ろに倒す
- しっぽを足の間に入れる
反省しているのではなく、叱られたときの姿勢です
もう1匹飼っても解決するとは限らない
ほかの犬がいれば犬の気持ちが落ち着くこともありますが、もう1匹飼うことで分離不安が治るわけではありません。留守番が苦手な犬は、飼い主と離れることに不安を感じているからです。新しい犬を迎えると、かえって問題が複雑になることもあります。
研究の結果は分かれています。ほかの犬と一緒に留守番した子犬は、不安のサインが少なかったという研究があります。ほかの犬がいない家の犬は分離不安と判断されやすかった、という調査もあります。
ほかの犬と暮らす家の犬を録画した研究では、一緒に暮らす犬がいてもクンクン鳴きは減りませんでした。もう1匹を迎えるかどうかは、留守番の悩みとは別に決めることになります。
もう1匹いるときの研究の結果
| 調べた犬 | 結果 |
|---|---|
| ほかの犬と一緒に留守番した子犬 | 不安のサインが少なかった |
| ほかの犬がいない家の犬 | 分離不安と判断されやすかった |
| ほかの犬と暮らす家の犬(録画) | クンクン鳴きは減らなかった |
しつけ不足のせいにしない
留守番中に物を壊したり粗相をしたりするのは、言うことを聞かないからでも、わざと困らせているからでもありません。しつけが足りないから起きる行動ではなく、ひとりになる不安から起きる行動です。
見分ける手がかりは、一緒に出るほかの様子です。粗相や物を壊すことによだれや出かける支度のときの不安が一緒に見られるなら、トイレのしつけやおもちゃの区別ができていないのではありません。
留守番の不安としつけ不足の見分け方
| 見るところ | 留守番の不安 | しつけ不足 |
|---|---|---|
| 飼い主が家にいるとき | 起きない | 起きる |
| 一緒に見られる様子 | よだれ・支度のときの不安 | 見られない |
しつけ不足だと考えてトイレのしつけをやり直しても、留守番の不安は軽くなりません。慣らす練習で、ひとりの時間への不安を減らしていくことが近道です。
慣れたあとも留守番は4時間までが目安
- 成犬でも4時間を超えてひとりにしない
- 子犬はもっと短くする
- トイレと散歩を済ませてから出かける
成犬でも4時間を超えてひとりにしない

留守番に慣れた成犬でも、ひとりにするのは4時間までが目安です。4時間を超えると、犬は体を動かすこともトイレに行くことも人と過ごすこともできないまま待つことになります。
ひとりにできる時間の目安
ひとりで過ごせる長さは犬によって違います。留守番が苦手な犬は4時間までいきなり延ばさず、練習で少しずつ近づけていきます。
仕事などで4時間を超えて家を空ける日は、途中で誰かに様子を見に来てもらいます。家族や友人に昼に寄ってもらう方法や、散歩をしてくれるペットシッターに頼む方法があります。犬の保育園に預けることもできます。
子犬はもっと短くする

子犬は成犬よりずっと短い時間しかひとりにできません。おしっこやうんちを長く我慢できないうえ、ひとりの時間に慣れる練習もまだ始まったばかりだからです。
子犬をひとりにできる時間の目安は、月齢で変わります。
| 子犬の月齢 | ひとりにできる時間の目安 |
|---|---|
| 生後10週未満 | 1時間 |
| 生後10〜12週 | 2時間 |
| 生後3か月 | 3時間 |
練習を終えて留守番に慣れた子犬でも、ひとりにするのは2時間ほどで十分です。子犬のうちからひとりの時間に少しずつ慣らしておくと、成犬になってから留守番で困りにくくなります。
トイレと散歩を済ませてから出かける

長めに家を空ける日は、出かける前にしっかり散歩をして、体を動かしトイレを済ませておきます。体力を使った犬は、留守の間に落ち着いて眠りやすくなります。
出かける前に、水を飲める場所とごはんか長持ちするおやつを用意しておきます。飼い主のにおいがついた古い服を寝床に入れておくと、犬が安心しやすくなります。
長めに家を空ける日の準備
- しっかり散歩をする
- トイレを済ませる
- 水を飲める場所
- ごはんか長持ちするおやつ
- においのついた古い服
帰ったら、まず外に連れ出してトイレをさせます。粗相をしていても、叱らずに犬を外に出してから片づけます。
留守番に慣らしておく理由
- 鳴き声で近所から苦情が来る
- ドアや窓をかじってけがをする
- 放っておくと不安に敏感になる
鳴き声で近所から苦情が来る
留守番がつらい犬の吠え声や遠吠えは、ひとりになっている間ずっと続くことがあります。外の物音などのきっかけがなくても鳴き続けるので、近所の人には長い時間響きます。
飼い主が家にいる間は鳴かないので、飼い主は鳴き声に気づきません。留守番の困った行動は、近所の人から吠え声のことを言われて初めて分かることが多い行動です。
動物愛護管理法では、飼い主は犬が人に迷惑をかけないように努めることが求められています。飼っている動物の鳴き声などで周りの生活環境が損なわれているときは、都道府県知事が飼い主に指導や助言をすることができます。改善しないときは期限を決めて対策をとるよう勧告することができます。勧告に従わないときは、命令を出すこともできます。
鳴き声で周りの生活環境が損なわれているとき
- 指導・助言都道府県知事が飼い主に行う
- 勧告改善しないとき。期限を決めて対策を求める
- 命令勧告に従わないとき
鳴き声を止めようと犬を叱っても、留守番の不安は軽くなりません。ひとりの時間に慣らす練習で不安を減らすことが、鳴き声を減らす近道です。
ドアや窓をかじってけがをする
留守番がつらい犬は、ひとりの部屋から出ようとしてドアや窓のまわりをかじったり掘ったりします。出ようとする行動は激しくなりやすく、家を壊すだけでなく犬自身がけがをします。
ドアや窓をかじるうちに歯が折れたり、前足に切り傷やすり傷ができたりします。爪を傷めることもあります。
ドアや窓をかじって起きるけが
- 歯が折れる
- 前足の切り傷やすり傷
- 爪を傷める
- かじった物を飲み込む
かじった物を飲み込むと、胃や腸に詰まる異物になります。飲み込んだ異物は命に関わることがあり、レントゲンで調べることになります。金網をかみ続けた犬が、金網に含まれる亜鉛で中毒になった例も報告されています。
放っておくと不安に敏感になる
留守番が苦手な犬は、ひとりにされてつらい思いをするたびに不安に敏感になります。敏感になるほど、ひとりの時間に慣らす練習は難しくなります。
ひとりの留守番がつらい犬は10頭中8頭いるという研究があります。つらい犬の半分は、目立つサインを出しません。生後6か月の子犬を調べた研究でも、半分近い47%の子犬に分離に関わる行動が見られました。
家に来たときから少しずつひとりの時間に慣らしておいた犬は、あとで留守番に困りにくいことが分かっています。
うまくいかないときは動物病院に相談する
- 体の病気が隠れていないか調べてもらう
- 練習と一緒に薬を使う治療がある
- 行動の問題を診る獣医師がいる
体の病気が隠れていないか調べてもらう
練習を続けても慣れないときは、体の病気が隠れていないかを動物病院で調べてもらいます。痛み・かゆみ・病気・体の不快感は、どれも犬を不安になりやすくします。体の病気が、留守番のつらさを生んだり強めたりすることもあります。
とくに痛みは、行動の問題の大きな原因です。行動の専門の獣医師が診た犬を調べた研究では、28〜82%の犬に痛みのサインがありました。
年をとってから留守番を嫌がるようになった犬は、まだ見つかっていない病気のサインのこともあります。年をとってから出る分離不安は、夜に落ち着かなくなる形で出ることもあります。シニア犬では、動物病院でくわしく診てもらうことが欠かせません。
練習と一緒に薬を使う治療がある
不安の強い犬には、慣らす練習と一緒に不安をやわらげる薬を使う治療があります。薬で不安の強さを下げておくと、ひとりの時間に慣らす練習が進みやすくなります。薬だけで治すのではなく、ほとんどの犬は薬と練習の両方が必要です。
分離不安の薬を使った試験では練習に薬を足した犬は、物を壊す・粗相をするといった行動が少なくとも3倍速くよくなりました。鳴き声には、薬を使った犬と使わなかった犬で差がありませんでした。
毎日続けて飲む薬のほかに、出かけるときだけ使う薬もあります。出かけるときだけ使う薬は飲んでから90分ほどで効き始め、4〜6時間効きます。日本でも分離不安の治療を助ける薬が認められています。どの薬を使うかは、獣医師が犬の様子を診て決めます。
分離不安の治療で使う薬
行動の問題を診る獣医師がいる
動物病院の中には、犬の不安や恐怖などの行動の問題を専門に診る所があります。日本獣医動物行動学会は、行動の診療に詳しい獣医師を「獣医行動診療科認定医」として認定しています。学会のホームページには、行動診療をしている動物病院の地域別の一覧があります。
大学の動物病院では、東京大学の附属動物医療センターの行動診療科が留守番中の吠えや物を壊す行動も診ています。かかりつけの動物病院を通して予約する仕組みです。日本獣医生命科学大学の付属動物医療センターの行動治療科は、紹介状がなくても予約を受け付けています。
行動の問題の治療は、行動を変えていく練習が中心です。留守中の様子を撮った録画を持っていくと、獣医師に犬の様子が伝わりやすくなります。


