薬を包むチーズの選び方
- 塩分が少ないのはモッツァレラ
- 脂肪が少ないのはカッテージチーズ
- 薬が隠れる硬さを選ぶ
- 犬用チーズは塩分が分からない
- 6Pチーズ1個は5kgの犬の1日の1割強
薬を包むチーズは、毎日のように口に入ります。1回は少しでも、薬を飲む日数だけ積み重なるのがおやつとの違いです。選ぶときに見るのは、塩分・脂肪・硬さ・量の4つです。
塩分が少ないのはモッツァレラ

チーズは作る途中で塩を使うので、種類によって塩分が大きく違います。100gあたりの食塩相当量で比べると、いちばん少ないのはモッツァレラの0.2gです。いちばん多いパルメザンとブルーチーズは3.8gで、モッツァレラの19倍あります。
| チーズ | 食塩相当量(100gあたり) | ナトリウム(100gあたり) |
|---|---|---|
| モッツァレラ | 0.2g | 70mg |
| クリームチーズ | 0.7g | 260mg |
| カッテージチーズ | 1.0g | 400mg |
| カマンベール | 2.0g | 800mg |
| チェダー | 2.0g | 800mg |
| プロセスチーズ | 2.8g | 1,100mg |
| パルメザン | 3.8g | 1,500mg |
| ブルーチーズ | 3.8g | 1,500mg |
薬を包むのに使う量は数gです。5gで計算するとモッツァレラの食塩は0.01gで、プロセスチーズは0.14gです。同じ量でもプロセスチーズはモッツァレラの14倍の塩分を毎回とることになります。
ブルーチーズはカビを使うチーズで、塩分も最も多い部類です。薬を包むのに選ぶ理由はありません。
脂肪が少ないのはカッテージチーズ

脂肪で比べると、いちばん少ないのはカッテージチーズの100gあたり4.5gです。脂肪の多いチェダーの33.8gと比べると7分の1ほどです。
| チーズ | 脂質(100gあたり) | エネルギー(100gあたり) |
|---|---|---|
| カッテージチーズ | 4.5g | 99kcal |
| モッツァレラ | 19.9g | 269kcal |
| カマンベール | 24.7g | 291kcal |
| プロセスチーズ | 26.0g | 313kcal |
| ブルーチーズ | 29.0g | 326kcal |
| パルメザン | 30.8g | 445kcal |
| クリームチーズ | 33.0g | 313kcal |
| チェダー | 33.8g | 390kcal |
ただしカッテージチーズは、塩分の物差しで見ると評価が逆になります。カロリーが低い分だけ、100kcalあたりのナトリウムは404mgでプロセスチーズの351mgより多い計算になります。脂肪を気にする犬と塩分を気にする犬では、向くチーズが違います。
膵炎になったことがある犬や脂肪を控えるよう言われている犬は、カッテージチーズのように脂肪の少ないものが候補になります。量と種類は獣医師に確かめてから決める場面です。
薬が隠れる硬さを選ぶ
塩分や脂肪が少なくても、薬を包めなければ使えません。指で押して形が変わり、薬のまわりに貼りつく硬さが包みやすいチーズです。
| チーズ | 包みやすさ |
|---|---|
| プロセスチーズ(6Pなど) | 指で丸められて形が崩れにくい |
| クリームチーズ | やわらかく錠剤に貼りつくが指にもつく |
| モッツァレラ | 弾力があり、薄く伸ばして巻く |
| カッテージチーズ | 粒がぽろぽろして包みにくい |
| パルメザン(粉) | 粉なので包めない |
包む量は、薬がちょうど隠れるだけにします。大きく包むと、犬は薬の入っていない部分だけかじって薬を吐き出します。ひと口で飲み込める大きさにまとめるのが、塩分とカロリーを抑えることにもつながります。
犬用チーズは塩分が分からない
ペットショップには犬用のチーズのおやつが並んでいます。人間用より塩分が少ないと思われがちですが、犬用チーズは塩分の数字を公表していないものがほとんどです。
| 商品 | 食塩相当量・ナトリウムの記載 |
|---|---|
| ペティオ 極上 チーズ 乳酸菌入り | なし |
| ペティオ 極上 生後3ヶ月からの なめらかチーズ | なし |
| ペティオ プラクト チーズキューブ | なし(原材料にリン酸塩(Na)・カゼインNa) |
| ペティオ アドメイト ヒマラヤマウンテン ハードチーズ | なし(原材料に食塩) |
| ママクック チーズのビスケット | なし |
| いなば ささみと緑黄色野菜 チーズ入り | なし |
犬のおやつの成分表示は、粗たんぱく質・粗脂肪・粗繊維・粗灰分・水分の5つが中心で、ナトリウムは表示しなくてよい項目です。人間用のチーズは食塩相当量の表示が決まっているので、6Pチーズやスライスチーズは塩分が数字で分かります。
犬用だから安心とは言えず、塩分を比べることもできません。塩分を気にする犬なら、数字が分かる人間用のモッツァレラのほうが選びやすい場面があります。犬用チーズの原材料に「食塩」「リン酸塩(Na)」とあれば、塩分が入っている目印になります。
6Pチーズ1個は5kgの犬の1日の1割強
いちばん手に入りやすい6Pチーズは、1個17gで55kcal、食塩相当量0.52gです。体重5kgの成犬が1日に必要なカロリーは約441kcalなので、6Pチーズ1個で1日のカロリーの12.5%になります。
| 体重 | 1日に必要なカロリー | おやつ20%以内 | おやつ10%未満 |
|---|---|---|---|
| 3kg | 301kcal | 60kcal | 30kcal |
| 5kg | 441kcal | 88kcal | 44kcal |
| 10kg | 742kcal | 148kcal | 74kcal |
| 20kg | 1,248kcal | 250kcal | 125kcal |
おやつの目安は1日のカロリーの20%以内で、より厳しく見ると10%未満です。5kgの犬なら20%で88kcal、10%で44kcalです。6Pチーズ1個だけで10%の目安を超えます。
薬を包むのに1個は要りません。6Pチーズなら4分の1で14kcal、食塩0.13gほどです。小型犬で毎日薬を飲むなら4分の1より小さく切って包み、チーズの分だけごはんを減らすとカロリーの帳尻が合います。
チーズで包める薬と包めない薬
- チーズで包んでよい薬
- チーズと一緒に飲ませない薬
- 潰してはいけない薬
- 飲ませたあとに水を飲ませる
チーズはどの薬にも使えるわけではありません。チーズにはカルシウムが多く含まれ、カルシウムと一緒だと効きが落ちる薬があります。包む前に、薬の種類と形を確かめる必要があります。
チーズで包んでよい薬
チーズで包んでよいのは、食べ物と一緒に飲ませてよいと獣医師に言われた薬です。薬の袋や説明書に「食後」「食事と一緒に」とあれば、食べ物と一緒で問題のない薬です。
反対に「食前」「空腹時」と書かれた薬は、食べ物と一緒だと効き方が変わる薬です。チーズも食べ物なので、包む前に獣医師に確かめる場面です。
| 薬の袋の書き方 | チーズで包むか |
|---|---|
| 食後・食事と一緒に | 包んでよいかを確かめて使う |
| 食前・空腹時 | 包まない |
| 指定なし | 獣医師に確かめる |
チーズで包めるかどうかは、薬の名前だけでは分かりません。同じ系統の薬でも、成分によって乳製品と一緒でよいものとよくないものがあります。
チーズと一緒に飲ませない薬
乳製品と一緒だと効きが落ちるのは、一部の抗生物質です。カルシウムが薬とくっついて、腸から吸収されにくくなります。
| 薬の種類 | 乳製品やカルシウムとの関係 |
|---|---|
| テトラサイクリン系 | 牛乳や乳製品で吸収が落ちる。ドキシサイクリンとミノサイクリンは除く |
| フルオロキノロン系 | カルシウムやマグネシウムを含む制酸剤と一緒だと吸収が落ちる |
テトラサイクリン系は、牛乳や乳製品で吸収が落ちる薬です。同じ系統でもドキシサイクリンとミノサイクリンは例外です。薬の名前が同じ系統でも、成分で答えが変わります。
フルオロキノロン系は、エンロフロキサシンなどが入る抗生物質の系統です。カルシウムやマグネシウムと結びつくと吸収が落ちます。チーズはカルシウムが多い食べ物で、6Pチーズ1個に99mg入っています。
抗生物質を処方されたら、チーズで包んでよいかを最初に獣医師に聞くのが確実です。包めない薬なら、チーズ以外の包み方を一緒に相談できます。
潰してはいけない薬
薬を小さくしてチーズに混ぜたくなりますが、割ったり潰したりしてはいけない薬があります。
代表は腸溶錠です。胃では溶けずに腸で溶けるように表面を加工した錠剤で、割ると胃酸で成分が壊れます。腸溶錠のマクロライド系の抗生物質は、割ったり砕いたりすると胃酸で分解されるので丸ごと与える薬です。
| 薬の形 | 割る・潰す |
|---|---|
| 腸溶錠 | 割らない・潰さない |
| 徐放錠(ゆっくり効く錠剤) | 割らない・潰さない |
| 割線のある錠剤 | 指示があれば割れる |
| カプセル | 開けない |
ゆっくり効くように作られた徐放錠も、潰すと効き方が変わります。錠剤の真ん中に線(割線)が入っていて「半分」と指示された薬は割れますが、指示がない薬を自分の判断で割らないのが原則です。
薬が大きくてチーズで包みにくいときは、潰す前に獣医師に相談すると小さい錠剤や粉薬に変えられることがあります。
飲ませたあとに水を飲ませる
チーズで包んだ薬を飲み込んでも、錠剤が食道の途中で止まることがあります。食道に張りついた錠剤は、そこで溶けて食道を傷つけます。
ドキシサイクリンの錠剤やカプセルを水なしで飲ませた猫では、食道のただれや食道が狭くなる病気(食道狭窄)が起きています。飲ませたあとに与える水の目安は約5mLです。
犬でも飲ませたあとに水を飲ませるか、少しだけごはんを食べさせると、薬が胃まで流れます。チーズで包んだ薬をうまく飲み込めても、水がないと食道に残りやすくなります。
水を飲まない犬には、スポイトや注射器(針のないもの)で口の横から少しずつ入れる方法があります。量や入れ方は、動物病院で薬を受け取るときに聞いておくと安心です。
心臓病や腎臓病の犬は塩分とリンに気をつける
- 心臓病の犬は塩分に制限がある
- チーズごとの塩分の違い
- 腎臓病の犬はリンにも気をつける
心臓病や腎臓病の犬は、薬を毎日飲むことが多い犬です。薬を包むチーズも毎日口に入るので、心臓病なら塩分で腎臓病ならリンを気にする必要があります。チーズが使えないのではなく、種類と量を選ぶ話です。
心臓病の犬は塩分に制限がある
心臓病が進んで心不全になった犬は、食事の塩分を控えることがあります。塩分の制限は食事100kcalあたりのナトリウムの量で決められています。軽度から中等度の心不全で50〜80mg、重度で50mg未満が目安です。
| 心不全の程度 | ナトリウムの目安(100kcalあたり) |
|---|---|
| 軽度から中等度 | 50〜80mg |
| 重度 | 50mg未満 |
体重5kgの成犬が1日に必要なカロリーは約441kcalです。軽度から中等度の目安に当てはめると、1日のナトリウムは約220〜353mgまでになります。6Pチーズ1個のナトリウムは約205mgなので、1個で1日分の6割から9割を使う計算です。
ハムのような人の食べ物で急に塩分をとると、落ち着いていた心臓病が悪くなることがあります。薬を包むチーズも人の食べ物なので、量を決めて毎日同じだけ使うのが安全です。
心臓病でも症状がない段階では、塩分をどこまで控えるかは獣医師の間でも意見が分かれています。食べる量が落ちている犬では、塩分を減らすより食べることが優先されます。愛犬の段階でどこまで控えるかは、獣医師に確かめる場面です。
チーズごとの塩分の違い
心不全の目安と同じ物差しで、チーズの塩分を100kcalあたりのナトリウムに直すと、目安の中に入るのはモッツァレラだけです。
| チーズ | ナトリウム(100kcalあたり) | 5gで包んだときのナトリウム |
|---|---|---|
| モッツァレラ | 26mg | 3.5mg |
| クリームチーズ | 83mg | 13mg |
| チェダー | 205mg | 40mg |
| カマンベール | 275mg | 40mg |
| パルメザン | 337mg | 75mg |
| プロセスチーズ | 351mg | 55mg |
| カッテージチーズ | 404mg | 20mg |
| ブルーチーズ | 460mg | 75mg |
5gで包んだときの量で見ると、プロセスチーズは55mgで、5kgの犬の1日の目安(約220〜353mg)の2割前後です。モッツァレラなら3.5mgで、1日の目安のほとんどを使わずに済みます。
カッテージチーズは100kcalあたりで見ると多い側ですが、カロリーが低いので5gで包んだときのナトリウムは20mgです。物差しによって順位が変わるので、心臓病の犬はモッツァレラかクリームチーズを少量が選びやすい組み合わせです。
腎臓病の犬はリンにも気をつける
腎臓病の犬で気をつけるのは、塩分に加えてリンです。リンを控えた腎臓病用の食事を食べた犬は生存期間が長くなることが分かっていて、ステージ2以上の犬に勧められています。
チーズはリンの多い食べ物です。種類による差も大きく、パルメザンはクリームチーズの10倍あります。
| チーズ | リン(100gあたり) | 5gで包んだときのリン |
|---|---|---|
| クリームチーズ | 85mg | 4mg |
| カッテージチーズ | 130mg | 7mg |
| モッツァレラ | 260mg | 13mg |
| カマンベール | 330mg | 17mg |
| ブルーチーズ | 440mg | 22mg |
| チェダー | 500mg | 25mg |
| プロセスチーズ | 730mg | 37mg |
| パルメザン | 850mg | 43mg |
腎臓病用の療法食は、リンを減らして作られています。そこにプロセスチーズを毎日足すと、療法食で減らしたリンを薬のたびに足し戻すことになります。リンが少ないのはクリームチーズとカッテージチーズで、プロセスチーズの5分の1以下です。
腎臓病の犬の食事でリンを1日何mgまでにするかは、犬の状態と療法食で変わります。薬を包むチーズを使ってよいかと量は、療法食を出している獣医師に確かめるのが確実です。チーズを使わずに、療法食を練ったものや投薬用のおやつで包む方法もあります。
チーズが使えない犬は何で包むか
- 投薬用のおやつ
- いつもの療法食
- 粉薬や液体の薬に変えてもらう
乳製品にアレルギーがある犬、療法食以外を食べられない犬、チーズと一緒に飲めない薬を処方された犬は、チーズで包めません。チーズの代わりになる包み方は3つあります。
投薬用のおやつ
薬を包むために作られたおやつがあります。練って広げて包むもの・袋の形で薬を入れるもの・ペーストで薬を混ぜるものがあり、動物病院だけで売られているものも多いのが特徴です。
- QIX ペティッツ 投薬補助トリーツ
-
1粒約2.6gで8.0kcal以上。粒を練って広げ、薬を包む。低アレルゲン版は犬の主なアレルゲン35品目を使わず、動物性たんぱく質なし。動物病院で販売(公式ページ)
- QIX ペティッツ ミネラルコントロール
-
尿石症や心臓・腎臓の療法食を食べている犬向けに、カルシウムやマグネシウムなどを療法食以下に調整。1粒約2.6gで8.0kcal以上。動物病院で販売(公式ページ)
- いなば ちゅ~るポケット
-
4g×20袋で1,540円。薬を入れやすい袋の形。低リン低ナトリウムをうたう。動物病院専用(公式ページ)
- いなば 投薬用ちゅ~る
-
6g×50本で2,750円。粘りを強くして錠剤と粉薬の両方に使える。動物病院専用(公式ページ)
- メディボール チーズ味
-
15個(約20g)で880円。100gあたりリン393mg・ナトリウム363mg。5kgの犬で1日5個以内。チーズパウダー入り(公式ページ)
各メーカーの公式サイト(2026年9月確認)
選ぶときは、チーズを避けたい理由に合わせます。乳製品アレルギーならチーズの入っていないもの、療法食の犬ならミネラルを調整したものが候補です。メディボールのチーズ味は名前のとおりチーズパウダーが入っているので、乳製品を避けたい犬には向きません。
投薬用のおやつも、包む前に薬に触った手で触ると薬のにおいが移ります。薬に触る前におやつを練っておくと、においで気づかれにくくなります。
いつもの療法食
療法食を食べている犬は、療法食で薬を包むのが、食事の管理を崩さない方法です。塩分やリンを減らした療法食に、別の食べ物を足さずに済みます。
| 療法食の形 | 包み方 |
|---|---|
| 缶詰やパウチ | ひと口分を丸めて薬を中に入れる |
| ドライフード | ぬるま湯でふやかして練り、薬を包む |
いつものごはんで包むと、ごはんに薬が入っていると覚えて、食事を嫌がることがあります。ごはんの前に薬入りのひと口を与え、食べ終わってからいつものごはんを出すと食事と薬を分けられます。
療法食の種類によっては、缶詰とドライで成分が違います。ドライの療法食を食べている犬に同じ銘柄の缶詰を使ってよいかは、療法食を出している獣医師に確かめる場面です。
粉薬や液体の薬に変えてもらう
錠剤を包んでも吐き出す、錠剤が大きすぎる、包むものが見つからない。包み方で困ったときは薬の形を変えられないかを獣医師に相談できます。同じ成分でも、粉薬やシロップの形がある薬があります。
| 薬の形 | 与え方 |
|---|---|
| 粉薬 | 少量のペーストや投薬用ちゅ~るに混ぜる |
| シロップ | スポイトで口の横から入れる |
| 小さい錠剤 | 包む量を減らせる |
粉薬は、ペースト状の投薬用おやつに混ぜると飲ませやすくなります。錠剤を自分で砕いて粉にするのは避けるのが安全です。腸溶錠や砕いてはいけない薬があるので、粉にしたいときは最初から粉薬を出してもらいます。
薬の形を変えると、1回に飲ませる量や回数が変わることがあります。変えてもらったら、量と回数を薬の袋でもう一度確かめます。
チーズで包んでも吐き出すときの対処
- チーズだけ食べて薬を出す
- においで気づく
- 口を開けて直接入れる
チーズの量を薬が隠れるだけにしても、薬だけ出てくる犬はいます。与え方と手のにおいを変えると飲める犬もいます。与え方を変えても飲まないときは、口を開けて直接入れる方法があります。
チーズだけ食べて薬を出す
最初はかんでいても、飲み込む前に薬だけを口から出す犬がいます。チーズを渡したら飲み込むまで目を離さないことが大切です。床やベッドの隅に薬が落ちていないかも見ておくと、飲めていない日に気づけます。
何も入っていないチーズを先に1つ与えてから薬入りを与える方法もあります。薬入りを食べたらすぐにまた何も入っていないチーズを与えます。次のチーズに気を取られて、薬入りのチーズをかまずに飲み込みやすくなります。
3つとも薬入りと同じ小さな大きさにそろえると、見た目で区別されにくくなります。チーズの合計も増えすぎないので、塩分やリンを気にしている犬にも使える方法です。
においで気づく
犬は薬のにおいでチーズの中身に気づきます。薬をつまんだ指でチーズを閉じると、包みの外側に薬のにおいが残ります。
片手で薬をチーズに押し込み、もう片方の手でチーズを閉じて差し出します。薬を持つ手とチーズを閉じる手を分けると、外側に薬のにおいがつきにくくなります。
何も入っていないチーズを一緒に与えるときは、薬に触る前に全部切っておきます。薬に触ったあとの指で切ると、何も入っていないチーズにも薬のにおいが移ります。
口を開けて直接入れる
与え方を変えても飲まない犬には、口を開けて薬を奥に置く方法があります。薬を置く場所は口のできるだけ奥です。
- 利き手でない手で鼻先を上からつかみ、上の犬歯のすぐ後ろに指をかける
- 頭を少し上に向け、利き手の指で下の前歯を押して口を開ける
- 薬を舌の上のできるだけ奥に置く
- 頭を戻して口を閉じ、飲み込むまで鼻先を軽く押さえる
- 鼻を軽くなでるか鼻に息をそっと吹きかけて飲み込むのを促す
- 飲み込んだらほめて小さなチーズかおやつを与える
飲み込んだかどうかは、のどが動くか犬が鼻をなめるかで分かります。
直接入れたあとも、チーズで包んだときと同じように水か少量のごはんを続けて与えます。錠剤が食道の途中に残らないようにするためです。
チーズを使う前に獣医師に聞くこと
- 薬をチーズで包んでよいか
- 愛犬にチーズを使ってよいか
チーズで包めるかどうかは、薬と愛犬の体の両方で決まります。薬を受け取るときに聞いておくと、家で飲ませるときに迷わずに済みます。
薬をチーズで包んでよいか
薬について聞くことは5つです。どれも薬の袋だけでは分からないことがあります。
- 食べ物と一緒に飲ませてよいか
-
「食前」「空腹時」と指定された薬は、食べ物と一緒だと効き方が変わります。袋に指定がない薬も包む前に確かめておくと確実です。
- 乳製品と一緒に飲ませてよいか
-
テトラサイクリン系やフルオロキノロン系の抗生物質は、カルシウムと一緒だと吸収が落ちます。チーズはカルシウムの多い食べ物です。
- 割ったり砕いたりしてよいか
-
腸溶錠や徐放錠は割ると効き方が変わります。抗菌薬のゼナキル錠のように「すりつぶして投与しないこと」と決められている薬もあります。
- 食事との順番をそろえる薬か
-
甲状腺の薬のレボチロキシンは、空腹時に飲ませると食事と一緒のときの約2倍吸収されます。飲ませる時間と食事の順番を毎日同じにする薬です。
- 飲めたか分からない日はどうするか
-
吐き出した薬が見つからない日に、もう1回分を与えてよいかを先に聞いておくと当日に迷いません。
薬を受け取るときに聞くこと。薬の内容は MSD獣医マニュアルと農林水産省 動物医薬品検査所の動物用医薬品等データベース(2026年9月確認)
同じ抗生物質でも、成分が違えば答えが変わります。新しい薬が出るたびに聞き直すのが確実です。
愛犬にチーズを使ってよいか
薬がチーズで包めても、愛犬の体にチーズが合うかは別に確かめます。持病や体質について聞くことも5つです。
- 心臓病の犬は塩分をどこまで控えるか
-
症状のない段階では、塩分をどこまで控えるかは獣医師の間でも意見が分かれます。モッツァレラなら5gで包んでもナトリウムは3.5mgです。
- 腎臓病の療法食にチーズを足してよいか
-
腎臓病の療法食はリンを減らして作られています。リンが少ないのはクリームチーズとカッテージチーズで、プロセスチーズの5分の1以下です。
- 脂肪を控える必要があるか
-
膵炎になったことがある犬は、脂肪の少ないチーズが候補になります。カッテージチーズの脂質は100gあたり4.5gです。
- 乳製品にアレルギーがないか
-
乳製品にアレルギーがある犬はチーズで包めません。投薬用のおやつには、犬の主なアレルゲンを使わないものもあります。
- チーズの分だけごはんを減らすか
-
5kgの犬なら6Pチーズ1個で1日のカロリーの12.5%です。体重を管理している犬は、チーズの分だけごはんを減らすかを聞いておきます。
愛犬の体について聞くこと。数値は文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」とMSD獣医マニュアル(2026年9月確認)
聞くときは、使うチーズの種類と1回に使う量を伝えます。「6Pチーズを4分の1」「モッツァレラを5g」のように量まで伝えると、使ってよいかの答えがはっきりします。


