今まで元気だった愛犬も、年齢を重ねるごとに足腰が弱くなり歩けなくなる時がやってきます。
食事や運動に気を付けていてもやがて来る「老化」に逆らうことはできません。
長生きしてくれるのはうれしい事ですが、それに伴って介護のことで不安な事も増えてきます。
なかでも心配のひとつが「寝たきりによる床ズレ」です。
この記事ではシニア犬が寝たきりになった時の
- 筋肉の萎縮防止
- 床ズレ防止
をポイントに、快適な寝床つくりのコツを紹介します。
飼い主さんが在宅のときの寝床づくり
飼い主さんが在宅している時は、筋肉の萎縮に気をつけます。
そのためには犬の寝たきりを助長させないことが重要です。
「フセ」の態勢ができるようであれば、フセの状態を少しでも長く維持させておくとワンちゃんがとてもラクになります。
なぜフセの状態にさせておくのかを解説します。
通常、犬の瞳は「左右」に動きます。

ところが、寝ている状態になると瞳の動きが「上下」に変わります。

飼い主さんが愛犬の前を移動した時、視線の動きは左右なのに瞳の動きは上下になるということです。
人間でも同じですが、目を上下に動かすとだんだん気分が悪くなり「酔い」と似た感覚になります。
この目の動きの違いによって介護時のワンちゃんたちの酔いは助長され、頭を起こすことが困難になり筋肉の萎縮を加速させてしまいます。
寝ている状態から「フセ」の姿勢にさせるメリットは多く、理想的なフセの姿勢を維持することで投薬や食事のむせ防止などにも効果があります。
飼い主さんの介助があればフセができるならフセ用のクッションがとても役に立ちます。
フセのメリット
- 床ズレや筋肉の萎縮、関節の固まりをなくせる
- ゴハンや飲み薬がラクになり、むせることが無い
- 視線の上下運動を減らして「酔い」や「めまい」の防止ができる
飼い主さんが留守のときの寝床づくり
共働きで日中に介護ができないなど、愛犬が留守番をしている時に気をつけるのは床ずれです。
寝たきりになった愛犬の寝床づくりの課題は「床ズレ」を作らない事です。
床ずれの原因
- 皮膚の同じ部分に長時間、圧力がかかっている
- 尿や便によって皮膚が湿っぽくなっている
- 栄養不足
床ずれになっている部分は細胞の組織が死んでいる状態です。
床ズレになると以下の問題が起こります。
- 関節炎
体圧分散性が悪く骨が出ている部分に負担がかかり関節炎をおこす - 皮膚炎
通気性が悪く蒸れて居て、ノミ、家ダニが犬の身体に発生しやすい - 悪臭
十分に手入れを行うことができず不衛生な身体になる
最悪の場合、犬の傷口に大量の蛆虫が寄生するので床ズレ防止は徹底して行います。
床ずれ防止に効果的な寝床作りの方法
寝たきりの犬には、高反発マットレスは硬くて皮膚に負担をかけ床ズレになりやすいです。
高反発マットレスは子犬や若い犬には向いていますが、シニア犬には不向きです。
- がんばれば立ち上がれる犬の場合
高反発マットレス - 自力では立ち上がれない犬の場合
高反発マットレス+低反発マットレス
寝たきりの犬の場合、マットレスは低反発と高反発を併用します。
- 低反発マットレスの役割
-
- ゆっくりと沈みこみ、身体を包み込む寝心地になる
- 長時間寝ていても血流が悪くならない
- 体圧を分散されて、床ずれが起きやすい部位への負担を避けられる
- 高反発マットレスの役割
-
- 低反発マットレスからの重みを全体で受け止める
- 床の硬さを感じさせないので快適に寝られる
低反発マットレスだけだと沈み込みが大きくなります。
沈み込むというのは体圧が均等に行き渡らずに、一番重いところに力が集まっています。
この沈み込みを無し、体圧がより均等になるように高反発マットレスを一番下に敷きます。
それぞれのマットレスがおしっこで濡れないようにペットシーツを下図のように配置します。

参考:
愛犬のための 症状・目的別 高齢犬ケア百科 食べる・歩く・排泄困難、加齢による病に対応 [ 須崎 恭彦 ]
>>ニトリ [厚さ2.5cm]低反発マットレス
>>ニトリ [厚さ5cm]高反発マットレス
愛犬が触れる一番上に敷くペットシーツは、洗えるトイレマットが便利です。



洗えるトイレマットはここが便利
- おしっこで愛犬が汚れにくい
- 寝返りをしてもシーツがクシャクシャにならない
- 使い回せるから経済的
- 使い捨てと違い、ゴミが増えない
身体どうしが触れ合う箇所の床ズレ対策
前脚と前脚、後脚と後脚が長時間触れ合っている部分も床ずれになりやすい箇所です。
二時間~三時間おきに体勢を変えるのが理想的ですが、夫婦共働きの場合はそこまで手がまわりません。
そういったケースでは、犬の脚と脚の間に低反発の抱き枕やなめらかな素材の毛布をはさんであげます。
抱き枕の場合、体からすっぽ抜ける心配があるので毛布の方が安心です。
体勢を変える際の注意点

体勢を変えるのは今まで下側だった部分が上になり、上だった部分が下になります。
犬によっては寝返りさせたときに苦手な向きがあって、バタバタして居心地が悪そうになります。
落ち着かないようでしたら、フセ用のクッションを敷いて身体が斜めになるように寝かせると居心地が良くなってぐっすり寝てくれます。
床ずれになるかどうかは身体の一点にかかる力と時間を最小限にすることを心掛けていれば防げます。

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