保護犬がドッグフードを食べない原因
- 心理的な要因
- 身体的な要因
- フード自体の問題
心理的な要因
保護犬がドッグフードを食べない心理的な要因には、過去のトラウマや環境変化が深く関係しています。犬が新しい家庭で安心して暮らせるようになるためには、時間、忍耐、そして適切なケアが必要です。
- 過去のトラウマや経験の影響
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保護犬の中には過去に虐待を受けたり、適切なケアを受けられなかった犬がいます。このような犬は、食べ物を含むあらゆる環境に対して警戒心を抱く可能性があります。
犬にトラウマを植え付ける『4つの出来事』飼い主がすべき配慮やアフターケアは?(わんちゃんホンポ)
食事中に暴力を受けた経験がある場合、食べ物を見ること自体がストレスのトリガーになることがあります。また、手渡しでの給餌に対しても、攻撃されると誤解することがあります。
- 新しい環境によるストレス
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保護施設から新しい家に迎えられることは、犬にとって大きな環境変化です。新しい家族、匂い、音、家具など、すべてがストレスの要因になり得ます。
この場合犬にとって、環境に適応することが最優先になるため、食事への関心が後回しになることがあります。
~生活環境が変わるときに心がけてほしいこと(引越し・新しい犬・家族の変化)~(日本動物医療センターグループ本院)
また、他のペットがいる場合、競争心や緊張感から食欲が減退することがあります。以前の環境でごはんを奪い合う経験をしていた犬は、食事中に警戒心が強くなります。
飼い主さんが犬の心理状態を理解し、信頼関係を築く努力をすることで、少しずつ問題が改善されるでしょう。
心理的要因に対する具体的な対処法
- 静かで安心できる場所を与える
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静かでプライベートな場所を用意し、他の人間や動物が邪魔しない環境で食事を与えます。照明を柔らかくし、音を減らしてリラックスできる雰囲気を作ります。
犬が安心できる寝床の近くに食事スペースを設置するのも有効です。
- 無理強いをしない
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犬が食べないときに焦らず、食事を無理に押し付けないことが重要です。プレッシャーを与えると、さらに食欲が落ちてしまいます。
一定時間(例えば15分)だけ食事を置き、それ以外の時間は片付けます。このルーティンを繰り返すことで、犬が少しずつ環境に慣れることを促します。
- プラスαの工夫
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手で与えることで、犬が人間の手に対してポジティブなイメージを持つようになります。また、ドッグフードを少し温める、もしくは美味しいトッピング(茹でた鶏肉やサツマイモなど)を少量加えることで、犬の興味を引き出します。
- 環境に慣れさせる時間を与える
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最初の1~2週間は、犬が家族や環境に慣れるための重要な期間です。この間は特別なルールやプレッシャーを与えず、犬がリラックスできるよう配慮します。
食事以外の時間に、遊びや散歩を通じてポジティブな交流を増やし、犬の不安を和らげます。
身体的な要因
身体的な問題が原因で保護犬がドッグフードを食べない場合、まずは以下を確認することが重要です。
- 獣医師に相談して、健康状態をチェックする。
- 問題が特定された場合、その犬に合ったフードやケア方法を導入する。
- 年齢や体調に応じた柔軟な対応を心掛ける。
保護犬が健康面で快適に過ごせる環境を整えることで、徐々に食事への興味を取り戻すことが期待できます。
- 歯や口腔内の疾患
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虫歯や歯周病、歯肉炎、口内炎などの問題がある場合、犬は痛みを避けるためにドッグフードを食べるのを嫌がることがあります。
硬いドライフードを噛むのが痛みの原因になるため、柔らかい食べ物を好む傾向があります。歯の状態が悪化すると、口臭やよだれが増えるなどの症状が見られます。
原因
- 過去の食事内容や栄養不足。
- 不適切な歯磨きや長期間の放置による歯垢・歯石の蓄積。
対処法
- 犬用の歯磨きや口腔ケア製品を取り入れる。
- 獣医の歯科検診を受け、必要に応じて歯石除去や治療を行う。
- ドライフードをお湯でふやかす、もしくはウェットフードを試す。
- 消化器系の不調
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胃炎、腸炎、膵炎、便秘、下痢など、消化器系の問題があると、食欲が低下することがあります。消化不良が続くと、食後の不快感や嘔吐を避けるために食事を拒むことも。
犬の繰り返す下痢や長引く下痢について(アニコムどうぶつ病院グループ)
原因
- ストレスや急な環境変化。
- 寄生虫(回虫や鉤虫など)による影響。
- 突然のフード変更や体質に合わない食事。
対処法
- 1日に与える量を少量ずつ複数回に分ける。
- 血液検査や糞便検査をし、寄生虫や消化器系の病気を特定する。
- 消化器系に配慮したフード(低脂肪・低アレルゲンのもの)を選ぶ。
- アレルギーや不耐症
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アレルギーの症状には、皮膚のかゆみ、耳の感染症、下痢、嘔吐などがあります。これらが食欲低下につながることがあります。
特定の原材料(牛肉、鶏肉、小麦、とうもろこしなど)に対する不耐症やアレルギーが原因の場合もあります。
原因
- 消化器系の疾患や遺伝的要因。
- 過去の食事で特定の食材に敏感になった。
対処法
- アレルゲンの可能性がある食材を除いたフードを一定期間与える。
- 獣医師推奨のアレルギー対応フードや低アレルゲンフードを選ぶ。
- 成犬から高齢犬への食欲の変化
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高齢になると基礎代謝が低下し、若い頃と比べて食欲が落ちることがあります。歯の摩耗や口腔内の健康状態の変化、味覚や嗅覚の衰えが原因となることも。
老犬の基礎知識 人間と同じ、「老化」のサイン見逃さないで(sippo)
対処法
- 一度に与える量を減らし、1日3~4回に分けて与える。
- グルコサミンやコンドロイチンなど、関節の健康をサポートサプリメントを併用。
- 消化吸収しやすい成分(高品質なタンパク質、、オメガ脂肪酸)を含むフードを与える。
フード自体の問題
保護犬がドッグフードを食べない原因として、フードそのものに問題を抱えているケースがあります。この問題は、主に「味や食感の好み」、「フードの品質」、「保存状態」に起因しています。
- 味や食感の好み
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犬にはそれぞれ嗜好があり、特定のドッグフードの魚や肉の種類が合わない場合があります。例えば、チキンやサーモンを主成分としたフードを好む一方で、ビーフやラムなどの濃厚な肉を使ったフードを好まない場合があります。
また、魚ベースのフードが大好きな犬がいる一方で、魚特有の風味を嫌がる犬もいます。これらの違いは、過去の食事経験や生理的な好みによって大きく左右されることがあります。
イヌとネコの食性・採食パターン・嗜好・摂食量および飲水量(ヤマザキ動物看護大学大学院)
ベース ドッグフード名 チキンベース カナガンドッグフード チキン チキン&サーモン モグワンドッグフード 魚ベース ドッグフードおさかな ビーフベース WOLF INSIGHT(ビーフ) ラムベース アランズナチュラルドッグフード 鹿肉ベース ユリカゴドッグフード 馬肉ベース 馬肉自然づくり 対処法
- さまざまなドッグフードをローテーションで与える。
- フードを温める、トッピングを加えるなどして嗜好性を高める。
- フードの劣化
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ドライフードに含まれる脂質は時間とともに酸化し、香りが悪化することがあります。犬は酸化臭に敏感で、これを嫌う可能性があります。
ドライフードに含まれる脂質の種類とその特徴
スクロールできます脂質の種類 特徴 動物性脂肪 – 鶏脂肪、牛脂肪、豚脂肪などが含まれる
– 高エネルギー源で嗜好性が高い
– 必須脂肪酸(オメガ-6)が豊富魚油 – サーモンオイルやイワシオイルが一般的
– DHAやEPAなどのオメガ-3脂肪酸が豊富
– 抗炎症作用があり、皮膚や被毛に良い影響植物油 – サンフラワーオイル、キャノーラオイル、亜麻仁油など
– リノール酸などのオメガ-6脂肪酸が多い
– 消化吸収がしやすい亜麻仁油(フラックスシードオイル) – オメガ-3脂肪酸(ALA)が豊富
– 抗酸化作用があり、皮膚や関節の健康を促進
– 比較的酸化しやすい高温多湿の環境や直射日光の当たる場所で保存されたフードは、香りや味が変質し、犬が食べたがらなくなります。
対処法
- フードを開封したら密封できる容器に移し替え、酸素や湿気を防ぐ。
- フードに異臭や変色がないか、手で触った際に脂っぽくないか確認する。
- 冷暗所に保管し、直射日光を避ける。特に夏場は温度が高くなる場所を避ける。
ドッグフードの選び方とポイント
保護犬がドッグフードを食べるようになるには、現在の健康状態や行動を観察し、それに合ったフードを選ぶことが重要です。
注目すべき成分と栄養バランス
- 高品質なタンパク質
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犬の健康維持には、動物性タンパク質が欠かせません。フードの原材料に「チキン」「サーモン」「ラム」など具体的な肉や魚が記載されているものを選びましょう。「ミール」や「副産物」といった曖昧な表記のものは避けた方が無難です。
- 消化を助ける炭水化物
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米やサツマイモ、エンドウ豆など、消化しやすい炭水化物を含むフードを選ぶと良いです。一方で、小麦やトウモロコシは、アレルギーや消化不良を引き起こす場合があるため、注意が必要です。
- 脂肪と必須脂肪酸
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被毛の健康やエネルギー供給に役立つ脂肪が含まれているフードを選びましょう。オメガ3脂肪酸やオメガ6脂肪酸は、皮膚や被毛の健康維持に効果的です。
- ビタミンとミネラル
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免疫機能を維持するために、ビタミンE、カルシウム、亜鉛などが含まれているフードを選びましょう。これらの成分がバランス良く含まれる製品が理想的です。
成分 働き 効果 ビタミンE 抗酸化作用で細胞を保護し、免疫力を高める 病気への抵抗力を強化し、老化の進行を抑制する カルシウム 骨や歯の形成を助け、筋肉や神経の働きをサポート 骨折や歯のトラブルを防ぎ、健康な体の基盤を作る 亜鉛 皮膚や被毛の健康を維持し、傷の治癒を助ける 皮膚病の予防や毛並みの向上、治癒能力の促進 犬に必要な栄養素って?「5大栄養素」の働きや最適なバランスを解説!【獣医師監修】(アニコム損害保険株式会社)
- 無添加で安全なフード
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保護犬が健康的な食事をするためには、保存料、着色料、香料などの人工添加物が含まれていないフードが望ましいです。保護犬は過去の環境や経験から体調を崩しやすく、免疫力も低下している場合があるため、できるだけ自然な食事を与えることが大切です。
添加物の種類を確認する
保存料、着色料、香料などの人工添加物の他に、酸化防止剤(BHA、BHT、エトキシキンなど)も避けた方が良い添加物です。天然由来の酸化防止剤(ミックストコフェロール、ローズマリー抽出物など)を使用しているフードを選びましょう。
モグワンはこれらの栄養成分をバランスよく含んでおり、さらに人工的な着色料や保存料を使用していないため理想的なフードです。
モグワンの栄養成分
チキン&サーモン56.5%(放し飼いチキン生肉 21%、生サーモン 12%、乾燥チキン 12%、乾燥サーモン 7.5%、チキングレイビー 2%、サーモンオイル 2%)、サツマイモ、エンドウ豆、レンズ豆、ひよこ豆、ビール酵母、アルファルファ、ココナッツオイル、バナナ、リンゴ、海藻、クランベリー、カボチャ、カモミール、マリーゴールド、セイヨウタンポポ、トマト、ショウガ、アスパラガス、パパイヤ、グルコサミン、メチルスルフォニルメタン( MSM)、コンドロイチン、ミネラル類(亜鉛、鉄、マンガン、ヨウ素)、ビタミン類(A、D3、E)、乳酸菌
成分 | 含有量 |
---|---|
タンパク質 | 27%以上 |
脂質 | 10%以上 |
粗繊維 | 4.75%以下 |
灰分 | 9.5%以下 |
水分 | 9%以下 |
NFE(窒素フリー抽出物) | 38.5% |
オメガ3脂肪酸 | 1% |
オメガ6脂肪酸 | 1.8% |
リン | 1% |
カルシウム | 1.4% |
エネルギー(100gあたり) | 361.5 kcal |
手作り食に近い安心感
\愛情たっぷりドッグフード/
健康状態に応じたフードを選ぶ
- 食欲不振の場合
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食べ物に興味を示さない場合、嗜好性の高いフードや温めて香りを引き立たせたフードを試してください。また、トッピングとして茹でた鶏肉やサツマイモを加えるのも有効です。
- 消化器系が弱い場合
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下痢や嘔吐などの消化器トラブルがある場合、低刺激性フードや消化しやすい炭水化物を含むフードが適しています。
- やせすぎ、太りすぎの場合
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痩せている犬の場合
- 高カロリー・高脂肪のフード
- エネルギーが高いフードは、少量でも十分なカロリーを摂取できます。
- 消化吸収に優れたフード
消化器が弱い犬では、高品質なタンパク質や炭水化物を使用したフードが適しています。
太っている犬の場合
- 低カロリー・高タンパク質のフード
- 筋肉を維持しながら脂肪を減らすため、タンパク質が多く、脂肪が控えめなフードが適しています。
- 繊維含有量が多めのフード
- 繊維が豊富なフードは満腹感を持続させる効果があり、犬が間食を欲しがるのを防ぎます。
- 高カロリー・高脂肪のフード
プレミアムドッグフードと一般的なフードの違い
プレミアムドッグフードは原材料、栄養価、安全性にこだわった高品質なドッグフードを指します。人間が食べる食品と同等の基準で管理された原材料を使用していたり、犬の食性に合わせて高タンパクなレシピを採用しているものが多いです。
ただし、「プレミアム」と表示するための明確な基準はなく、プレミアムドッグフードが必ずしもすべての犬に合うとは限りません。中には、粗悪な原材料や添加物を使用しているにもかかわらず「プレミアム」と謳っている商品も存在するため、注意が必要です。
プレミアムドッグフードの特徴
- 高品質な原材料
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牛肉、鶏肉、鹿肉、馬肉、鴨肉、ラム肉、魚など、犬が消化・吸収しやすい良質な動物性タンパク質を豊富に使用しています。
安価なドッグフードでよく使われる、原材料のつなぎや嵩(かさ)を増すための穀物(小麦、米、トウモロコシなど)の使用を控えている、もしくは全く使用していない(グレインフリー)ものが多いです。
- 栄養のバランス
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プレミアムドッグフードは、一般的なドッグフードに比べて栄養価が高いのが特徴です。特に、動物性タンパク質の含有量が多く、犬の筋肉や体力をサポートします。
高品質なタンパク質は消化吸収が良く、健康的な被毛や皮膚の維持にも役立ちます。また、ビタミンやミネラルもバランス良く配合されており、犬の免疫力を高める効果があります。
- 安全性への配慮
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プレミアムフードは、犬の健康を第一に考えた安全性への配慮が行き届いています。
「畜肉副産物」や「鶏肉副産物」などの低品質な原材料を避け、天然素材を使用した製品が多いのが特徴です。人工添加物や保存料を使わないフードが多く、アレルギーや健康リスクを抑える工夫がされています。
- ヒューマングレード
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プレミアムドッグフードの中には、人間用の食品と同じ品質基準で管理された「ヒューマングレード」の製品もあります。
これらの製品は、原材料の選定から製造プロセスまで厳格に管理されており、安全性と栄養価の両方を兼ね備えています。犬が安心して食べられるだけでなく、飼い主もその品質に信頼を置くことができます。
保護犬は元の飼育環境や保護されるまでの経緯などによって、栄養状態が偏っていたり、体調を崩していたりする場合があります。質の高いフードを与え健康を取り戻し、維持するために非常に重要です。
重要なポイントのまとめ
保護犬がドッグフードを食べない原因
保護犬がドッグフードを食べない理由には、心理的、身体的、フードそのものの問題が考えられます。心理的要因としては、過去のトラウマや新しい環境への適応が挙げられます。
虐待や不適切なケアを経験した犬は警戒心が強く、環境変化によるストレスで食欲を失うことがあります。身体的な問題としては、口腔疾患や消化器系の不調、アレルギーが原因となることがあります。
フード自体に問題がある場合は、嗜好に合わない味や食感、保存状態の悪化が食欲減退につながります。
保護犬のためのドッグフードの選び方
保護犬が安心して食事を取れるようにするためには、細かな配慮と適切なフード選びが不可欠です。心理的要因への対処法として、静かで安全な食事スペースを作り、無理強いを避けながら犬が安心できる環境を整えます。
身体的な問題が疑われる場合は獣医師の診断を受け、適切なフード(低アレルゲンフードや消化に優れたもの)を選ぶことが重要です。
フードを温めたりトッピングを加えることで嗜好性を高め、食欲を引き出す工夫も効果的です。
プレミアムドッグフードのメリット
保護犬には栄養価が高く、安全性に配慮されたプレミアムドッグフードがおすすめです。これらのフードは、高品質な動物性タンパク質やオメガ脂肪酸を含み、犬の健康維持や体調改善に役立ちます。
人工添加物を使用しないヒューマングレードの製品は安全性が高く、アレルギーや健康リスクを抑えることができます。
保護犬が元気を取り戻し、快適な生活を送るために、プレミアムフードの導入を検討すると良いでしょう。