子犬が健やかに成長するためには、適切な方法での日頃のお手入れが大切です。
ブラッシングやお風呂、爪切り、歯磨きなどの正しいお手入れ方法を学び、愛犬の健康で快適な生活をサポートしましょう。
子犬のお手入れを始める前に
犬は本能的に、体の特定の部位をさわられることを嫌がります。
しかし、犬と人とが一緒に暮らし、日頃のお手入れをしっかりと行っていくためには、どこをさわってもいやがらないようにしておくことが大切です。
犬がさわられるのをいやがる部位
- 首まわり、のど元など神経が集まる部位
- 腰まわりやおしりなど、自分の目線から外れる部位
- おなかや足裏など、本能的に弱点と感じる部位
「さわられるとよいことがある」と感じられるように、子犬が遊んでいるときなどに、体のいろいろな部分に触れて、少しずつ慣れさせていきましょう。
例えば、足先などは強くにぎったりせず、子犬の様子を見ながら手のひら全体でなでて慣れさせていきます。
体をさわられることに慣れさせるためのポイント
子犬の体をさわるときに大切なのは、犬がいやがってもさわるのをやめないことです。
いやがったときは叱らず、淡々とさわり続けます。
これを繰り返すことで、子犬はさわられることに慣れ、さらに「飼い主に逆らっても効果がない」ということを学習します。
トリミングに連れていき、トリマーの施術を受けるなかで、さわられることに慣れさせるのも有効です。
体をさわられることをどうしてもいやがる場合は、無理をせずトレーナーのアドバイスを受けてください。
ブラッシング(おすすめ頻度:毎日〜週数回)
人間と同じように犬の被毛も毎日伸びていくため、定期的にブラッシングをして、抜けた被毛を取り除かなければいけません。
ブラッシングは犬の被毛の毛質に合わせて、適切な頻度で犬用のブラシを用いて行いましょう。
- ショート/ミディアムロングヘアーの子犬:週に一回
- ロングヘアーの子犬:毎日
屋外犬と室内犬では被毛が抜け変わる時期が異なるため、その点にも注意が必要です。
- 屋外犬は春と秋の年2回の頻度で被毛が抜け替わる
- 室内犬は年間を通じて被毛が抜け替わり、春と秋に抜け替わる量が増えるリスト
被毛が抜けやすい時期には、丁寧なブラッシングを心がけましょう。
効果的なブラッシングのやり方
- ショート/ミディアムロングヘアーの場合
-
スリッカーブラシで抜けた被毛や剥がれた皮膚、余分なアンダーコート(下毛)を取り除きます。
獣毛ブラシで、被毛の方向に沿ってブラッシングして、残りの抜けた被毛を集めます。
最後に、目の粗いコームで、しっぽや足先をブラッシングします。
- ロングヘアーの場合
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スリッカーブラシで、被毛の方向に沿ってブラッシングして、絡まった被毛をほぐしたり、毛玉を取り除いたりします。
このとき、子犬の皮膚を傷つけないように、丁寧にブラッシングするのがポイントです。


爪のケア(おすすめ頻度:ときどき)
犬の爪には、狼爪と足先の爪の2種類があります。
狼爪はいわゆる親指の爪で、地面につかないため、放っておくと伸びすぎてしまいます。

伸びすぎた狼爪は愛犬の足を傷つけるおそれもありますので、定期的に爪切りをして、伸びすぎないように気をつけましょう。
また、足先の爪は日常のなかで自然とすり減りますが、それだけでは不十分な場合もあります。
爪切りのポイント
爪を切るときは、爪の付け根を親指で軽く押し下げ、爪の下の血管部分を浮かび上がらせます。
- 爪が透明の場合:血管部分はピンク色で三角形のかたちに浮かび上がってきます
- 爪が黒っぽい場合:爪の裏側から血管部分を確認してください
血管部分を確認したら、犬用の爪切りで血管部分に触れないように、少しずつ爪を切っていきます。
狼爪は被毛で覆われた見つけにくい場所にあることが多いですが、忘れずにお手入れしてあげましょう。
切り方は、足先の爪と同じ方法で切ってください。

耳のケア(おすすめ頻度:ときどき)
犬の耳には、垂れ耳と立ち耳の2種類があります。
耳の中が汚れているときは、ぬるま湯や犬用イヤークリーナーに浸した医療用ガーゼやティッシュをしぼり、見える範囲の汚れを拭き取りましょう。
垂れ耳の犬種は、耳の穴がふさがっているので蒸れやすくなっています。
耳道内の湿度が常に高いので、細菌と真菌が繁殖しやすくなります。
湿気の高い状態を放っておくと汚れがたまり、外耳炎・中耳炎・内耳炎を起こすリスクが高まります。

目のまわりのケア(おすすめ頻度:ときどき)
目のまわりに、汚れや目ヤニ、涙やけなどが見られるときには、湿らせた布やガーゼなどで拭き取ります。
通常、犬の目はキラキラと輝き、潤っていて、うっすらとピンクがかかっています。
健康な状態のとき、犬の目に目ヤニがたまったり白目部分が充血したりすることはないため、目の状態の変化には気を配っておきましょう。

歯のケア(おすすめ頻度:週1~2回)
歯周病は、飼い主さんの努力で予防できる病気です。
歯周病がなぜ起こるのか、どうすれば防げるのかをよく理解して、いつまでも愛犬・愛猫の健康を守ってあげましょう。
歯周病の原因は「歯垢(しこう)」と「歯石」です。
歯垢は食べかすではなく細菌の塊です。
これにカルシウムが結合すると歯石になります。
これらが歯周炎を起こし、歯がグラグラして抜けてしまうだけではなく、臓器への感染症をもたらすこともあるため注意が必要です。
犬の歯は虫歯になりにくい性質を持っていますが、歯石がたまると口臭が強くなったり、歯周病の原因になったりするため、定期的な歯磨きが必要です。
動物病院で歯石を取り除くことも可能ですが、全身麻酔での手術が必要になるため、愛犬の体に負担をかけてしまうことになります。
そうならないためにも、子犬のうちから週1〜2回の頻度で歯磨きをしてあげましょう。
歯垢が石灰化して歯石になる前に、歯の表面と歯と歯ぐきの間の溝から、歯垢を取り除くようにブラッシングしてあげるのが、歯垢に対して効果的なケアです。この歯磨きは、毎日続けることが大切です。
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歯のケアのポイント

子犬の歯磨きには、犬専用のデンタルケアを用います。
歯ブラシをいやがる場合は、指先にガーゼを巻き愛犬の歯をこすって歯磨きをしましょう。
犬は口の中に指を入れられることをいやがる傾向にあります。
愛犬の歯をケアし、健康を維持するためにも子犬の頃から根気よく歯磨きを続け、口の中に指を入れることに慣れさせましょう。
また、どうしても歯磨きをいやがる場合は、犬用のデンタルガムを噛ませるだけでも効果があります。
お風呂に入れる(おすすめ頻度:月1-2回)
お風呂の頻度は、ショートヘアーの犬は年2回、ロングヘアーの犬は3ヵ月に1回が適切です。
また、愛犬の被毛が短くカットされているときには、汚れたときのみお風呂に入れます。
お風呂の手順
夏場には、外を散歩させながら、体を乾かすこともできます。また、子犬がいやがらない場合には、やけどに注意しながらドライヤーを使い、ブラッシングをしながら乾かします。

毎日のお手入れは、愛犬との絆を深めるコミュニケーションの1つです。
また、ケアをしながら犬の皮膚、被毛、目、耳、歯の状態をチェックすることで、体の異変にいち早く気がつくことができます。
もし、急な異変に気づいた場合には、かかりつけの獣医師に相談しましょう。