予約サイトではシニア犬の条件を1つも絞り込めない
- 楽天トラベルとじゃらんで絞れるのは犬の大きさだけ
- 一休とYahoo!トラベルのバリアフリーは人向けの条件
- いぬやどと休日いぬ部で絞れるのは部屋食と犬用の食事まで
楽天トラベルとじゃらんで絞れるのは犬の大きさだけ
楽天トラベルの「ペットと泊まれる宿」特集で、絞り込みの欄を開いてみてください。並んでいるのは次の7つです。
| 楽天トラベル | じゃらん |
|---|---|
| 同室宿泊可 | 小型犬と泊まれる宿 |
| 小型犬 | 中型犬と泊まれる宿 |
| 中型犬 | 大型犬と泊まれる宿 |
| 大型犬 | — |
| 超大型犬 | — |
| 猫 | — |
| 小動物 | — |
楽天トラベルは犬の大きさと同室の可否、じゃらんは犬の大きさの3段階。段差、1階、夜間の対応、犬の食事に関する項目は、どちらにも存在しません。
「バリアフリー」で絞ればいいのではないか、と思われるかもしれません。楽天トラベルの宿一覧には「車椅子可」「バリアフリールーム」「バリアフリー用トイレ」「貸出用車椅子」という項目があります。ただしこれは人が車椅子で泊まれるかどうかの条件で、犬が歩く動線に段差があるかどうかとは別の話です。バリアフリールームでも、玄関からの通路に階段があることはあります。
じゃらんには「部屋で夕食」「部屋で朝食」という条件があります。これも人向けの部屋食の条件で、犬の食事を部屋で温められるかどうかは分かりません。
一休とYahoo!トラベルのバリアフリーは人向けの条件
一休.comとYahoo!トラベルは同じ検索の仕組みを使っています。「部屋のこだわり」に「ペットOK」と「バリアフリー」が並んでいるので、この2つを同時に指定すれば、犬と泊まれてバリアフリーの部屋が出てきます。
一休のバリアフリーも、人向けの部屋の属性です。段差が少ない部屋に当たる確率は上がりますが、宿側が犬のために段差をなくしたわけではありません。浴室の縁や、テラスへ出る段差までは保証されません。
一休とYahoo!トラベルには「大型犬と泊まれる宿」「ドッグラン付きの宿」「犬と添い寝できる宿」「愛犬と一緒に食事ができる宿」といった関連テーマもあります。犬向けの条件は多いのですが、シニア犬に関する条件は1つもありません。
いぬやどと休日いぬ部で絞れるのは部屋食と犬用の食事まで

犬と泊まれる宿を専門に扱う検索サイト、いぬやどと休日いぬ部の絞り込み条件は次のとおりです。
| サイト | 犬に関する絞り込み条件 |
|---|---|
| いぬやど | プライベートドッグラン付/共有ドッグランあり/ワンちゃんの宿泊料金無料/ワンちゃんのお食事あり/同伴可能なレストラン付/ドッグプール付/お部屋食プランあり/小型犬・中型犬・大型犬OK |
| 休日いぬ部 | 小型〜超大型犬OK/多頭OK/レストラン同伴OK/部屋食プランあり/添い寝OK/脱衣所同伴OK/全室ペットOK/ドッグラン/わんちゃん用メニューあり/わんちゃん一時預かり |
専門サイトだけあって、犬向けの条件は予約サイトより細かくなっています。「お部屋食プランあり」「ワンちゃんのお食事あり」は、療法食を持ち込んで部屋で与えたい飼い主には役立つ条件です。
それでも段差、1階、夜間の対応、シニア犬という語は、どちらのサイトの検索条件にも入っていません。
つまり、大手の予約サイトでも、犬専門の検索サイトでも、シニア犬の3条件で宿を絞る手段はありません。
段差は玄関から客室と浴室までの動線で見る
- 平屋やコテージでも室内に段差がある
- 客室ごとに段差の有無を公式サイトに書いている宿
- 滑りにくい床材を採用している宿と床材の種類
平屋やコテージでも室内に段差がある

「平屋のコテージなら段差はないだろう」——そう考えて予約すると、着いてから困ります。人気のある犬と泊まれる宿の公式サイトを読むと、平屋やコテージでも室内に段差や階段があることを、宿自身が書いています。
| 宿 | 公式サイトの記載 |
|---|---|
| ホテルフォレストヒルズ那須 | ツーベッドルームヴィラは「室内に段差があるお部屋もあります」。2ベッドスイートルームヴィラは「リビングとベッドルームの間に段差(スロープ有り)」。さらに「駐車場からお部屋までは段差や階段があります」 |
| レジーナリゾート箱根雲外荘 | 「玄関から客室まで段差はございません」としながら、デラックスツインF・Gは「客室内に約8cmの段差」。客室とプライベートドッグランの間にも段差(スロープあり)。共用ドッグランとドッグスパへは階段 |
| エンゼルフォレスト白河高原 | ドッグヴィラTPは「寝室はロフト。急な階段のご利用にご不安がある場合は事前にお問い合わせ下さい」。2階建て・ロフト付きの客室が多数 |
| ウブドの森 伊豆高原 | FAQで「誠に申し訳ございませんが、バリアフリーではございません」と明言。離れの寝室は「1段高い板間」 |
| ドゥカーレガーデンホテル九十九里 | 「本館は2階建てでエレベーターがございません。その他のエリアでは、段差はございます」 |
| 小松家八の坊 | ドッグランは屋上で「エレベーターで2Fまで上がり、階段を利用して屋上へ」。ロビー以外の館内は「抱っこまたはバギー等での移動」 |
コテージ型のフォレストヒルズ那須でも、ヴィラのタイプによって室内に段差があります。「玄関から客室まで段差なし」を打ち出す箱根雲外荘でも、部屋によっては約8cmの段差がある。宿のタイプでは判断できません。動線で見るしかありません。
動線とは、犬が実際に歩く道のことです。駐車場から玄関、玄関から客室、客室から浴室や食事処、客室からドッグランや外のトイレ。この1本1本に段差があるかどうかが、足腰の弱った犬にとっての現実です。客室の中だけ平らでも、そこにたどり着くまでに階段があれば意味がありません。
客室ごとに段差の有無を公式サイトに書いている宿
宿全体を「バリアフリー」と書くのではなく、客室ごとに段差の有無を明記している宿があります。こういう宿は、部屋を指定して予約すれば段差の問題を避けられます。
| 宿 | 段差がない部屋 | 公式の記載 |
|---|---|---|
| ホテルフォレストヒルズ那須 | ツーベッドルーム/ハリウッドツイン | 「室内には玄関以外に段差が無く、愛犬の足腰にやさしい繊維加工が施された特殊な床材」「段差の無いお部屋を希望される場合はご予約時にご相談ください」 |
| レジーナリゾート箱根雲外荘 | デラックスツインF・G以外 | 「玄関から客室まで段差はございません。車イスでもご利用いただきやすい客室や、専用駐車場、ユニバーサルトイレもご用意」 |
| 小松家八の坊 | 405号室 | 「シニアのワンちゃんにもやさしいお部屋」「段差のないフラットなフロアをはじめ、室内の突き出た角に丸みをもたせた」 |
| レジーナリゾート軽井沢御影用水 | 全館 | 「館内は段差がないバリアフリー仕様なので、シニアドッグやパピーにも負担無く」。エレベーター内寸135cm×160cm |
| ペンション浅間マンサード | 本館1階/本館スイート | 「老犬の子にも嬉しいバリアフリー」「車イスもOK」 |
| 和みの犬宿 むつみ庵 | 特別室 | 「フルフラット設計のバリアフリーにも対応できる和洋室」 |
フォレストヒルズ那須は、段差のある部屋と無い部屋を客室タイプごとに書き分けています。「段差の無いお部屋を希望される場合はご予約時にご相談ください」とあるので、予約時に段差なしの部屋を指定するのが正解です。ただし「お部屋の数には限りがあります」とも書かれているので、早めの予約が要ります。
宿全体を「バリアフリー」と書いている場合と、客室ごとに段差の有無を書いている場合では、情報の確かさが違います。客室ごとに書いている宿は、段差のない部屋を指定して予約できます。
宿全体を「バリアフリー」と書いている宿は、電話で「玄関から客室まで、客室から浴室まで、段差や階段はありますか」と聞いてください。
滑りにくい床材を採用している宿と床材の種類

段差の次に問題になるのが床です。フローリングは足腰の弱った犬にとって滑りやすく、踏ん張れずに転倒することがあります。犬と泊まれる宿の多くは床材に配慮していますが、採用している床材は宿によって違います。
| 宿 | 床材 | 公式の記載 |
|---|---|---|
| レジーナリゾート箱根雲外荘・鴨川 | BOLON(スウェーデン製) | 「愛犬が滑らず防水性のある床材」「シニア犬にやさしい滑らない床材」 |
| レジーナリゾート富士 | 専用コーティング | 「床には滑りにくく汚れに強い専用コーティングを施工」 |
| ゆとりろ蓼科ホテル | 専用コーティングと床材 | 「客室内は滑らず汚れにくい専用コーティングと床材を採用」 |
| ホテルフォレストヒルズ那須 | 繊維加工の特殊床材/厚めの防水床材 | 「愛犬の足腰にやさしい繊維加工が施された特殊な床材、もしくは防水性も備えた厚めの床材」 |
| エンゼルフォレスト白河高原 | 犬用の専用床 | 「愛犬が滑りにくく歩きやすいように開発された専用床」 |
| ペンション浅間マンサード | ノンスリップクッションフロア | 「床はノンスリップクッションフロアで安心!」 |
エンゼルフォレスト白河高原は、専用床を採用していると書いたうえで、「カーペットやクッションフロア等で普段生活している愛犬にとっては、滑りやすく感じる場合がございます」と注記しています。
つまり「滑りにくい床」は、フローリングと比べて滑りにくいという意味であって、家のカーペットと同じではありません。家でカーペットや畳の上で暮らしている犬は、宿の「滑りにくい床」でも滑ることがあります。
宿の床材が何であれ、犬が普段歩いている面と同じものを持ち込むのが確実です。獣医師監修の情報サイト「老犬ケア」でも、滑りやすい床にはタオルやマットを敷くよう勧められています。宿に着いてから床を確かめて敷くのではなく、最初から持っていってください。
療法食は持ち込んで温められるかで決まる
- 犬用の電子レンジを客室か共用に置いている宿
- 宿の犬用メニューは補助食と考える
- 部屋食ができない宿では食事中に犬をどうするかを確認する
犬用の電子レンジを客室か共用に置いている宿
腎臓や心臓の療法食を与えている犬は、旅先でもその食事を続けることになります。ふやかして与えている場合は、お湯か電子レンジが要ります。宿に電子レンジがあるか、そしてそれを犬の食事に使ってよいか——この2つは別の問題です。
公式サイトで「犬の食事のために使える」と明示している宿と、客室備品として電子レンジがあるだけの宿を分けました。
| 宿 | 電子レンジの場所 | 公式の記載 |
|---|---|---|
| ウブドの森 伊豆高原 | 屋内ドッグラン内 | 「ワンちゃんの『いつものごはん』の温めなどご自由にお使いくださいませ」(犬用と明示) |
| Doggy’s Coast Oarai | 1階のドッグ専用キッチン(24時間) | 「簡単な調理ができるよう共用スペースにミニキッチンを用意。冷蔵庫、電子レンジ、器等をご用意」(犬用と明示) |
| レジーナリゾート箱根雲外荘 | 客室内 | 「手作り食のために 冷凍冷蔵庫や電子レンジを客室内にご用意」(犬用と明示) |
| レジーナリゾート軽井沢御影用水/レジーナリゾート鴨川 | 客室内 | 「手作り食のための冷凍冷蔵庫や電子レンジ…客室にご用意」(犬用と明示) |
| ゆとりろ蓼科ホテル | 客室内 | 「お持ち込みのための冷凍冷蔵庫や電子レンジ…客室にご用意」(犬用と明示) |
| ドゥカーレガーデンホテル九十九里 | 一部客室/フロント前 | 「トレーラーハウス、ヴィラ付きドームテント、グランピングコテージはお部屋にあります。それ以外の客室にはございません。フロント前の電子レンジをご利用ください」 |
| ペンション浅間マンサード | バリアフリータイプの客室内 | 「電子レンジ・冷蔵庫・電気ポット付」 |
| エンゼルフォレスト白河高原 | 多くの客室内/リゾートオフィス | 客室備品として電子レンジ。オフィスにも「電子レンジや電気ケトルを完備」(犬用の明示はなし) |
| ホテルフォレストヒルズ那須 | 客室内 | 客室備品に「電子レンジ、湯沸しポット」(犬用の明示はなし) |
ウブドの森は、電子レンジを置いている場所が「屋内ドッグラン内」で、用途を「いつものごはんの温め」と書いています。犬のために置いてあることが公式に読み取れる、いちばんはっきりした例です。レジーナリゾートとゆとりろ蓼科も「手作り食のため」「お持ち込みのため」と用途を明示しています。
一方、客室備品として電子レンジがある宿は、人が使うためのものです。療法食のふやかしに使えないわけではありませんが、宿によっては犬の食事に使うことを好まない場合があります。公式に明示のない宿では、予約時に「犬の療法食を温めるのに電子レンジを使ってよいか」を確認してください。
ふやかすだけなら、電気ケトルか湯沸かしポットで十分です。フォレストヒルズ那須やエンゼルフォレストは客室にポットがあります。電子レンジの有無で宿を落とす前に、お湯で対応できるかを考えてください。腎臓の療法食は水分を多く摂らせることも目的なので、ぬるま湯でふやかすほうが合っている場合もあります。
宿の犬用メニューは補助食と考える
犬と泊まれる宿の多くは、犬用の食事を用意しています。獣医師や栄養管理士が監修したメニューもあります。ただし療法食を出している宿はありません。療法食は獣医師の指導のもとで与えるものなので、宿が代わりに用意できる性質のものではないからです。
宿側もそれを分かっていて、犬用メニューを「補助食」「別料金の一品」として公式サイトに書いています。
| 宿 | 犬用メニュー | 公式の記載 |
|---|---|---|
| エンゼルフォレスト白河高原 | バイキングに犬用3品程度/部屋食は有料デリバリー | 「ワンちゃんメニューは補助食としてご利用ください」「いつも食べなれているお食事をお持ちいただくことをおすすめします」「アレルギーや持病のあるワンちゃんは、原材料をご確認のうえご利用ください」 |
| 小松家八の坊 | わんこ御膳3種(各1,100円) | 「ペット栄養管理士・愛玩動物看護師が監修」「ご持参いただいたご飯にプラスしても」「シニアの子にはマッシャーを使用して、食べやすくしてあげてください」 |
| ウブドの森 伊豆高原 | 愛犬ビュッフェ(有料) | 「獣医師とわんごはんマイスター監修」。じゃがいも・さつまいもの煮つけは「シニア層や歯の悪い愛犬でも美味しく食べられます」 |
| ホテルフォレストヒルズ那須 | 単品・フルコース(有料)/部屋食あり | 「一切の塩・砂糖・化学調味料などの添加をしない」。持参物に「愛犬用フード 薬」「食べ慣れたフードやおやつを用意してあげてください」 |
| Doggy’s Coast Oarai | 有料メニューあり | 「ご飯は、普段食べているものをお持ちいただくことをおすすめしています」。持ち物「普段のフード 滞在日数+1日分(環境変化で食欲減退対策)」 |
| ゲストハウス ラ・ピステ/ペンション浅間マンサード/ドゥカーレガーデンホテル九十九里 | なし | 犬の食事は持参。ドゥカーレ「それ以外のご用意(例:ごはん等)はございません」 |
犬用メニューを出している宿でも、「補助食として」「食べ慣れたものを持参して」と揃って書いています。メインの食事は持ち込む前提です。療法食を与えている犬なら、なおさらです。
Doggy’s Coastの「滞在日数+1日分」という持ち物の指示は、そのまま使える目安です。環境が変わると食欲が落ちる犬が多いので、いつもより多めに持っていく。帰りが1日延びても困らない量です。
宿の犬用メニューは、いつもの食事に少し足す程度にとどめてください。療法食の犬にとって、旅行中に食事の中身が変わることは、環境の変化と重なる負担になります。獣医師監修の情報サイト「老犬ケア」でも、シニア犬は環境の変化に敏感になるとされています。食べ慣れたものを、食べ慣れた温度で。宿の設備は、そのために使ってください。
部屋食ができない宿では食事中に犬をどうするかを確認する
療法食の温めが済んで犬が食べ終わったら、次は人の食事です。ここで部屋食ができるかどうかが、シニア犬にとっては大きな違いになります。夜鳴きや分離不安のある犬を、部屋に1匹残して食事処へ行くのは避けたいからです。
| 宿 | 人の食事 | 犬をどうするか(公式の記載) |
|---|---|---|
| レジーナリゾート箱根雲外荘 | 全室部屋食 | 「移動せず食事は愛犬と一緒にお部屋でゆったりと」 |
| 小松家八の坊 | 特別室は部屋食(405・608)/505は個室食事処 | 特別室以外は食事処。「客室にて愛犬のみでお留守番をする場合には、安全のため愛犬をケージにお入れください」 |
| エンゼルフォレスト白河高原 | 部屋食プランあり/レストランは犬同伴可 | レストランのバイキングに犬用コーナーあり。部屋食は有料デリバリー |
| ホテルフォレストヒルズ那須 | 部屋食(Room Meal)あり/レストランは犬同伴可 | 「愛犬の無駄吠えが止まらない場合はお部屋にてお留守番をさせていただく場合がございます」 |
| ドゥカーレガーデンホテル九十九里 | レストランを含め犬同伴可 | 「お食事スペースはレストランを含め、ペット同伴可能」 |
| レジーナリゾート富士/レジーナリゾート軽井沢御影用水/レジーナリゾート鴨川 | 部屋食不可。レストランは犬同伴可 | 「お部屋食の対応は致しかねます」。鴨川・御影用水は「ドッグカート(小・中型犬用)の無料レンタル」 |
| ウブドの森 伊豆高原 | 部屋食不可。レストランは犬同伴可 | 「全てのお部屋で、お部屋食はお断りしております」「客室内に愛犬を残す場合は必ずケージへ入れ、長時間のお留守番はご遠慮ください」 |
| Doggy’s Coast Oarai | レストランは犬同伴可 | 「ワンちゃんだけでお部屋待機・お留守番は禁止」。預かり所あり(30分500円・上限3時間) |
パターンは3つです。部屋食ができる宿、レストランに犬を連れて行ける宿、預かり所に預ける宿。どの宿も、犬を部屋に1匹で残すことは想定していないか、禁止しています。
シニア犬にとって最も負担が少ないのは部屋食です。移動がなく、慣れた場所で、飼い主のそばにいられます。箱根雲外荘は全室部屋食、八の坊は特別室が部屋食です。フォレストヒルズ那須とエンゼルフォレストは、部屋食のプランを選べます。
レストラン同伴の宿では、足腰の弱った犬が食事の間じっとしていられるかを考えてください。レジーナリゾートの鴨川と御影用水は小・中型犬用のドッグカートを貸し出しているので、カートに乗せたまま同席できます。大型犬の場合はこの手が使えないので、部屋食の宿を選ぶほうが確実です。
「人の食事の間、犬はどこにいることになりますか」——この1つを聞けば、部屋食・同伴・預かりのどれになるかが分かります。夜鳴きのある犬なら、部屋食の宿か、レストラン同伴が確実にできる宿に絞ってください。
夜鳴きしたときの対応と夜間に診てもらえる動物病院までの距離
- 夜鳴きの方針を公式に書いている宿は1軒しかない
- 動物病院を公式に案内している宿は3軒
- 夜間救急は地方では限られるので宿の場所で決まる
夜鳴きの方針を公式に書いている宿は1軒しかない
シニア犬の飼い主がいちばん口に出しにくい不安が、夜鳴きです。家では慣れていても、宿では隣の部屋に人がいます。「うちの子が夜中に鳴いたらどうなるのか」——これを予約前に知りたいのに、夜間の鳴き声について方針を公式サイトに書いている宿は、主な犬と泊まれる宿15軒のうち1軒だけです。
| 宿 | 公式サイトの記載 |
|---|---|
| ペロはまなこ(静岡・浜名湖) | 「夜間就寝後、客室内でほえが続く場合ご宿泊頂けません」(愛犬に関しての注意事項) |
| Doggy’s Coast Oarai | 「夜間や早朝の時間帯は、他のお客様がゆっくりお休みになっています。…ワンちゃんの鳴き声など、音が響きやすい時間帯ですので、できるだけ静かにお過ごしください」「客室内でワンちゃんの無駄吠えが続く場合は…一時的にクレートに入れて落ち着かせたり」(ハウスルール) |
| ウブドの森 伊豆高原 | 「長時間吠え続けてしまう場合は、優しくなだめてあげてください」。規約では「無駄吠えにより、ほかのお客様に支障をきたす場合、共有設備からのご退場、愛犬の室内待機をお願いする場合があります」 |
| ホテルフォレストヒルズ那須 | 「愛犬の無駄吠えが止まらない場合はお部屋にてお留守番をさせていただく場合がございます」(レストラン)。同意書「無駄吠え…速やかに制止してください」 |
| レジーナリゾート(共通規約) | 「極端な噛み癖や攻撃性、無駄吠えにより、ほかのお客様に支障をきたす場合、共用部からのご退場、愛犬の客室待機をお願いする場合があります」 |
| エンゼルフォレスト白河高原 | 「ワンちゃんが無駄吠えやマウンティングなどの行動を起こした場合、速やかに制止してください」 |
どの宿にも「無駄吠え」に関する規約はあります。ただし、そのほとんどは共用部での吠えを想定した、昼間のルールです。「夜間」と明記して方針を出しているのはペロはまなこだけで、その内容は「就寝後に吠えが続く場合は宿泊できない」という厳しいものでした。Doggy’s Coastは夜間の配慮を求めていますが、宿泊不可とまでは書いていません。
認知症による夜鳴きは、飼い主がなだめても止まりません。「速やかに制止してください」という規約は、しつけで止められる吠えを前提にしています。認知症の夜鳴きがある犬の場合、規約どおりに制止できないことを、予約時に宿へ伝えておく必要があります。
隣室に声が届きにくいのは、独立した建物の客室です。エンゼルフォレストの貸別荘やコテージ、フォレストヒルズ那須のヴィラのように、壁を共有しない部屋なら、鳴いても他の宿泊者に届きにくくなります。ホテル型の客室で夜鳴きがあると、規約に触れる可能性が高くなります。予約時に「夜鳴きがある。独立した部屋はあるか」と聞いてください。
動物病院を公式に案内している宿は3軒
夜中に容体が変わったとき、いちばん近い動物病院がどこにあるか。これを公式サイトに書いている宿は、15軒中3軒です。
| 宿 | 公式サイトの記載 |
|---|---|
| ペロはまなこ(静岡・浜名湖) | 「コイケ動物病院 *ペロはまなこより車で10分」「湖西動物病院 *…車で約10分」(よくある質問) |
| Doggy’s Coast Oarai | 「旅行中に愛犬の具合が悪くなった時はどうしたらいいですか」→「提携動物病院リストをご用意しています」 |
| ウブドの森 伊豆高原 | 「近くに動物病院はありますか?24時間対応していますか?」→「24時間対応の動物病院もございますが、個人病院でございますので連絡がつかない場合もございます。予めご了承くださいませ」 |
ペロはまなこは病院名と所要時間まで書いています。Doggy’s Coastはリストを用意しています。ウブドの森は、24時間対応の病院があることと、個人病院なので夜中に連絡がつかない場合があることを正直に書いています。この「連絡がつかない場合がある」という一文は重要です。「24時間対応」と看板にあっても、夜中に電話が通じるとは限りません。
残りの12軒——ホテルフォレストヒルズ那須、エンゼルフォレスト白河高原、小松家八の坊、ドゥカーレガーデンホテル九十九里、レジーナリゾートの4館、ゆとりろ蓼科ホテル、ゲストハウス ラ・ピステ、ペンション浅間マンサード、和みの犬宿 むつみ庵——には、動物病院に関する記載が公式サイトにありませんでした。公式サイトに書いていない以上、予約前に自分で確かめるしかありません。
夜間救急は地方では限られるので宿の場所で決まる
犬と泊まれる宿の多くは、高原や海辺にあります。静かで、ドッグランが広くて、シニア犬には向いた環境です。ただし夜間に診てもらえる動物病院は、都市部に集中しています。宿が良くても、その周辺に夜間救急がなければ、夜中に何かあったときの選択肢がなくなります。
獣医師監修の情報サイト「老犬ケア」は、旅行前に「宿泊施設の近くにある動物病院・夜間診療・休日診療に対応している病院」を事前に調べるよう勧めています。宿を決める前にやることは3つです。
| やること | 具体的に |
|---|---|
| 宿の住所で夜間救急を検索する | 宿の所在地と「夜間救急 動物病院」で検索し、車で何分かを地図で確認する。30分を超えるなら、その宿は夜間の備えが薄いと考える |
| 夜間救急に事前連絡が要るか調べる | 夜間救急は電話してから向かうのが原則の病院が多い。受付時間と電話番号を控えておく |
| かかりつけの獣医師に旅行を伝える | 投薬中の薬の名前と量を書いたメモ、直近の血液検査の結果を持っていく。旅先の病院で初診でも状況を説明できるようにする |
順番を逆にしてください。先に「夜間救急が車で30分以内にある地域」を決め、その中で宿を探す。伊豆高原や那須のように犬と泊まれる宿が集まる地域は、動物病院も一定数あります。逆に、宿が1軒だけぽつんとある山奥は、夜間の備えが取れません。腎臓や心臓の持病がある犬なら、この順番が命に関わります。
電話で宿に聞く質問
- 段差について聞く質問
- 食事について聞く質問
- 夜間について聞く質問
予約サイトでは絞れず、公式サイトにも書かれていないことが大半です。最後は電話で聞くしかありません。聞く内容を、そのまま口に出せる形にしました。
電話の前に、犬のことを最初に3つ伝えてください。「13歳の柴犬で、後ろ足が弱っていること」「腎臓の療法食をふやかして与えていること」「夜中に1〜2回鳴くことがあること」。宿側はこれを聞いてから答えるので、答えが具体的になります。
段差について聞く質問
- 駐車場から玄関まで、玄関から客室まで、段差や階段はありますか
- 客室の中に段差はありますか。浴室や洗面所への入口はどうですか
- 段差のない客室を指定して予約できますか
- 客室の床は何ですか。フローリングなら、滑り止めのマットを持ち込んで敷いてもいいですか
- 食事処やドッグランへ行くのに、階段やエレベーターを使いますか
この5つのうち、公式サイトに書いてある宿は少数です。段差について客室ごとに書いていたのはフォレストヒルズ那須と箱根雲外荘くらいで、それ以外は電話で聞かないと分かりません。
聞き方に1つコツがあります。「バリアフリーですか」とは聞かないことです。バリアフリーは人向けの言葉なので、宿は「はい」と答えやすい。そうではなく「玄関から客室まで」「客室から浴室まで」と動線を区切って聞くと、宿は実際の建物を思い浮かべて答えます。
滑り止めマットの持ち込みを断る宿はほとんどありませんが、床材を傷めるという理由で敷物を嫌う宿はあります。着いてから断られると、犬が滑る床で過ごすことになります。「持ち込んで敷いてもいいですか」の一言で済みます。
食事について聞く質問
- 犬の療法食を持ち込みたいのですが、温めるための電子レンジかお湯は使えますか
- そのレンジは犬の食事に使ってもいいものですか
- 人の食事は部屋食にできますか。できない場合、食事の間、犬はどこにいることになりますか
- 犬をレストランに連れて行ける場合、床に伏せて待たせられますか。カートの貸し出しはありますか
- 犬用の食事は出されますか。出される場合、持ち込んだ療法食だけにしても問題ありませんか
客室に電子レンジがあっても、それが人用の備品である宿と、犬の食事のために置いている宿があります。ウブドの森やレジーナリゾートのように「犬のために」と公式に書いている宿はいいのですが、書いていない宿では、使ってよいか聞いてから使うのが筋です。
「食事の間、犬はどこにいることになりますか」と聞くと、答えで宿の型が分かります。「お部屋で一緒に」なら部屋食、「レストランにご一緒に」なら同伴、「お預かりします」なら預かり所。夜鳴きのある犬なら、部屋食か同伴の宿に絞ってください。
療法食の犬に、宿の犬用メニューを食べさせる必要はありません。エンゼルフォレストが自ら「補助食としてご利用ください」と書いているとおり、宿側も持ち込みを前提にしています。「療法食なので持ち込んだものだけにします」と伝えれば、それで済みます。
夜間について聞く質問
- 夜中に鳴くことがあります。隣の部屋に声が届きにくい客室はありますか
- 夜鳴きが続いた場合、宿としてはどう対応されますか
- 夜間に診てもらえる動物病院は、車で何分のところにありますか
- その病院に、宿から連絡を取ってもらえますか。それとも自分で電話しますか
- 夜間に宿のスタッフに連絡する方法はありますか。フロントは何時まで人がいますか
夜鳴きのことは、聞きにくい質問です。ただ夜中に鳴くことがあると先に伝えておけば、当日に苦情が来ても「事前にお伝えしたとおりで」と言えます。伝えずに泊まって実際に鳴いた場合、「就寝後に吠えが続く場合は宿泊できない」と規約に書いている宿では、夜中に退去を求められることがあります。
夜間の動物病院を聞いて「分かりません」と返ってきた場合、それは宿の落ち度ではなく、その宿が夜間の医療を想定していないということです。答えられない宿を責める必要はありませんが、持病のある犬でその宿を選ぶなら、動物病院は自分で調べておく必要があります。
夜間の連絡方法は、見落とされがちです。夜中に犬の容体が変わったとき、まず宿のスタッフに声をかけたい場面があります。フロントが24時間ではない宿は珍しくありません。連絡手段を聞いておくだけで、夜中の動き方が変わります。
「今お話しした内容を、予約のメモに残していただけますか」——これで、当日フロントにいる人が別の担当者でも、話が通ります。電話で聞いた内容は、予約確認のメールや電話で改めて確認してください。宿によっては、予約サイト経由の予約だと要望が伝わっていないことがあります。
公式サイトでシニア犬への対応を明示している宿
- シニア犬専用の客室や特典を持つ宿
- 館内をバリアフリーにしてシニアドッグと明示している宿
- 明示している宿でも夜間の動物病院までは書かれていない
公式サイトに「シニア犬」「老犬」「介護犬」などの語で対応を明示している宿が8軒あります。8軒以外にも対応している宿はあるので、これが全てではありません。
シニア犬専用の客室や特典を持つ宿
「対応している」と一言書くのではなく、シニア犬のために部屋を作った、特典を用意したと公式サイトに書いている宿が2軒あります。
| 宿 | 公式サイトの記載 | 予約 |
|---|---|---|
| 小松家八の坊 (静岡・伊豆長岡温泉) | 405号室「シニアのワンちゃんにもやさしいお部屋」「段差のないフラットなフロアをはじめ、柱やコーナーなど室内の突き出た角に丸みをもたせ」。わんこ御膳は「シニアの子にはマッシャーを使用して、食べやすくしてあげてください」。特別室は朝夕とも部屋食、備品におむつ | 楽天トラベルで見る |
| レジーナリゾート箱根雲外荘 (神奈川・箱根) | 「シニア犬応援!! シニア犬(7歳以上)一頭につき1,000円分 施設内利用券の特典」「客室には滑りづらい床材を採用し、共用部は段差がないバリアフリー仕様」「床ずれを予防できるクッション」。全室部屋食。客室に電子レンジ | 楽天トラベルで見る |
八の坊の405号室は、段差をなくしただけでなく、室内の角を丸めてあるのが特徴です。足腰が弱ってふらつく犬は、柱の角にぶつかることがあります。8軒の中で、そこまで考えて作られた部屋は他にありません。
箱根雲外荘は、7歳以上の犬に特典を付けていること自体が、シニア犬を歓迎する姿勢の表れです。加えて床ずれ予防のクッションを備えているということは、寝たきりに近い犬の宿泊も想定しているということです。全室部屋食なので、食事のたびに犬を動かす必要もありません。
館内をバリアフリーにしてシニアドッグと明示している宿
専用の部屋や特典はないものの、館内の段差をなくし、公式サイトで「シニア犬」「老犬」「介護犬」と明示している宿が6軒あります。
| 宿 | 公式サイトの記載 | 予約 |
|---|---|---|
| レジーナリゾート軽井沢御影用水 (長野・軽井沢) | 「館内は段差がないバリアフリー仕様なので、シニアドッグやパピーにも負担無くご利用いただけます」。エレベーター内寸135cm×160cm。客室に電子レンジ。ドッグカート無料 | 楽天トラベルで見る |
| ゆとりろ蓼科ホテル (長野・茅野) | 「館内は段差がないバリアフリー仕様なので、シニアドッグやパピーにも負担無く」。客室に電子レンジ。ドッグカート無料(小・中・大型犬用) | 楽天トラベルで見る |
| ゲストハウス ラ・ピステ (栃木・那須) | 「全室準バリアフリーの作りなので、介護犬やシニア犬にも優しい空間です」。犬の食事は持参 | 楽天トラベルで見る |
| ペンション浅間マンサード (群馬・北軽井沢) | 本館1階「老犬の子にも嬉しいバリアフリー」「床はノンスリップクッションフロア」。電子レンジ・冷蔵庫・電気ポット付。食堂は犬同伴可 | 楽天トラベルで見る |
| ホテルフォレストヒルズ那須 (栃木・那須) | 「子犬からシニア犬まで、安心の旅を」。客室ごとに段差の有無を明記。段差のない部屋を予約時に指定可。部屋食あり。マナーパンツとカートの無料貸出 | 楽天トラベルで見る |
| レジーナリゾート鴨川 (千葉・鴨川) | コーナーデラックスイーストは「バリアフリーにも対応」。滑らない床材BOLON。シニア犬向けのアクアフィットネス(1頭3,850円)。客室に電子レンジ。ドッグカート無料 | 楽天トラベルで見る |
6軒のうち、レジーナリゾートの2館とゆとりろ蓼科は、「段差がないバリアフリー仕様なのでシニアドッグやパピーにも負担無く」と同じ文言を使っています。運営や設計が近い系列だからです。段差については3館とも同じ水準と考えて構いませんが、部屋食は御影用水と鴨川では不可です。
ラ・ピステは「介護犬」という語を使っている唯一の宿です。準バリアフリーで、犬の食事は持参。設備は簡素ですが、介護が必要な犬を受け入れる姿勢を公式に書いている点で、他と違います。
段差・食事・夜間の3つで見ると、箱根雲外荘(段差なし・全室部屋食・電子レンジ)とフォレストヒルズ那須(客室ごとの段差明記・部屋食可・カート貸出)が、公式サイトの記載だけで2条件を確認できます。ただし夜間の動物病院は、8軒とも書いていません。
明示している宿でも夜間の動物病院までは書かれていない
シニア犬への対応を明示している8軒のうち、夜間に診てもらえる動物病院について書いている宿は1軒もありません。
| 条件 | 8軒のうち公式に書いている宿 |
|---|---|
| 段差・床材への配慮 | 8軒 |
| 犬の食事の温め(電子レンジ) | 5軒(八の坊は608号室のみ、ラ・ピステとフォレストヒルズは明示なし) |
| 部屋食 | 3軒(箱根雲外荘・八の坊の特別室・フォレストヒルズ) |
| 夜鳴きへの方針 | 0軒 |
| 夜間の動物病院 | 0軒 |
これは宿を責める話ではありません。段差や床材は宿が自分で用意できるものですが、動物病院は宿の外にあるものです。宿が「近くに夜間救急があります」と書きにくいのは、その病院の体制が変わったときに責任を持てないからでもあります。
だからこそ、夜間の医療だけは宿ではなく飼い主が調べることになります。宿の所在地で夜間救急を検索し、車で何分かを確かめる。この一手間を、8軒のどれを選ぶ場合でも省かないでください。
すべて2026年9月時点で各宿の公式サイトに書かれていた内容です。設備や条件は変わることがあります。予約前に必ず公式サイトを確認し、段差・食事・夜間の3つを電話で確かめてください。


