海外から日本に送られてくる多くのドッグフードにはエトキシキンと呼ばれる酸化防止剤が添加されています。
エトキシキンとは、タイヤや石油化学製品などの酸化防止剤として開発された化学合成物質です。
発がん性が非常に高く、人間の食品に使うことは禁止されています。
ところが、ドッグフードに使用されることは認可されています。
原材料に以下のものが使われている場合、エトキシキンが使われている可能性がかなり高くなります。
この原材料はエトキシキンに要注意
- 魚粉
- フィッシュミール
- チキンミール
- 乾燥チキン
- サーモンオイル
- 動物性油脂
○○ミール、乾燥○○、○○オイルと表記されているフードにはエトキシキンが100%使われているとは断言できませんが、可能性としては非常に高いです。
「私が買ってるドッグフードの原材料にエトキシキンが表記されていないから大丈夫だ」と思っていても安心してできません。
エトキシキンはドッグフードに表記する必要がない方法で添加されているので、実際にどのドッグフードに使われているのかが分かりません。
エトキシキンの使用が認可されている理由
日本で製造されているドッグフードにも酸化防止剤が使われています。
- 風味の劣化を防ぐ
- 雑菌の増殖を防ぐ
- 変色・褐色化を防ぐ
酸化防止剤は長期保存しても品質が劣化しないために使われています。
海外のドッグフードの酸化防止剤は品質の劣化以外にもう一つ目的があります。
酸化防止剤(エトキシキン)の毒性を周知しながら、ドッグフードに使用をされている最大の理由は大量添加が国際海事危険物規程で定められているからです。
船舶による危険物の運送基準等を定める告示
(1) エトキシキン、ジブチルヒドロキシトルエン又はトコフェロールによって安定化されていること。
(2) 製造されてから12月を超える期間が経過していないこと。
(3) 抗酸化剤として魚粉1kg当たり50mg以上のエトキシキン、100mg以上のジブチルヒドロキシトルエン又は250mg以上のトコフェロールを含む こと。
ドッグフードの原材料の○○ミール、乾燥○○、魚粉にエトキシキンの大量添加が国際規程になった背景には、船舶で大量にドッグフードを輸送する際に酸化熱による船舶の火災事故を防ぐためです。
乾燥させたフードを大量に船に積み込むと自然発火によって火災事故が起こり人命を奪う危険があります。
(1) エトキシキン、ジブチルヒドロキシトルエン又はトコフェロールによって安定化されていること。
→ドッグフード全体に満遍なエトキシキンが行き渡っていること。
(2) 製造されてから12月を超える期間が経過していないこと。
→酸化して古くなったフードはより火災事故を起こしやすいからコンテナ船へ積み込めない。
エトキシキンの三つの問題点
ドッグフードに添加される酸化防止剤は
- エトキシキン
- ジブチルヒドロキシトルエン(BHT・BHA)
- トコフェロールのいずれかになります。
この三つの酸化防止剤の中で抗酸化の効果が最大で、使用量が少なくて済むのがエトキシキンです。
・エトキシキンの沸点は125℃、融点が25℃
・BHT・BHAの沸点は265℃、沸点が70℃
この数字が意味することは、気化(液体が気体になる)しやすいのがエトキシキンです。
BHT・BHAやトコフェロールは気化しづらいので直接ドッグフードに練り込まないといけません。
一方のエトキシキンは揮発性が高いので、一箇所に塗布するだけ気化されエトキシキンがドッグフード全体に行き渡るので無駄がありません。
実際、多くのドッグフードはエトキシキン+トコフェロール、あるいはエトキシキン+BHT・BHAとなっているのが現状です。
次にドッグフードに使われるエトキシキンの三つの問題点です。
犬の健康よりもビジネスが優先される
海外のドッグフードに使うエトキシキンは75ppm (75mg/kg)以下と決められています。
日本のドッグフードにエトキシキンの使用は認められていませんが、牛などの飼料に使うことには認められています。
人間が食べる牛肉にエトキシキンがわずかに移行残留しています。
その許容量は 0.01ppm(0. 01mg/kg)以下 です。
海外のドッグフードの75ppm (75mg/kg)と比べてみると分かりますが、人間の7500倍もエトキシキンの許容量に差があることがわかります。
犬がエトキシキンの毒性に強いということでなく、ドッグフードの貿易上の都合によります。
原材料表示は隠れ蓑
エトキシキンはほとんどのドッグフードに実質添加されています。
「添加しても無表示」のからくりは、ドッグフードを作っている会社が肉や魚を仕入れた時点で既にエトキシキンが添加されていることです。
仕入れ先の会社に対して「肉や魚にエトキシキンを添加して欲しい」とリクエストして添加してしまえば、ドッグフードにエトキシキンの表示義務はなくなります。
エトキシキン以外にも、表示すると都合が悪い食品添加物に関するこのカラクリは日本の食品業界でも頻繁に行われています。
海外のドッグフードでエトキシキンを使っていない物もあるのですが、実際にどのフードなのかが分からないのが購買意欲をなくす原因にもなります。
エトキシキンが使われているかどうか検査してくれる株式会社食環境衛生研究所もあります。
代わりになるような安全な抗酸化剤がない
日本が一方的に原料や製品への添加を禁止すると、海外品は日本へ輸出困難になりますから、非関税障壁になり国際ルール違反になります。
海外のドッグフードは日本に比べて品質的に優れているものが多いのですが、酸化防止剤の量とエトキシキンに代わる安全な酸化防止剤が無いのが残念です。
ドッグフードはどうやって日本に届くのか
海外の製品が日本に届くには空(飛行機)から届くか海(船)から届くかの2つしか方法がありません。
ドッグフードは海からコンテナ船を使って届きます。
コンテナの種類はドライコンテナとリーファーコンテナの二種類あります。
ドライコンテナは常温で運ばれ、リーファーコンテナは冷蔵冷凍室があり温度管理が可能です。
ドッグフードをリーファーコンテナで運ぶと結露によってカビが発生するのでドライコンテナで運ばれてきます。
コンテナ船はアメリカの西海岸(カリフォルニア州、オレゴン州、ワシントン州)から出港すると日本に着港するのに14日かかります。
アメリカの東海岸(マサチューセッツ州、ニューヨーク州、ニュージャージー州)、EUからの出港になると30日かかります。
日本に着港する間に複数の国の港で荷物を積んだり下ろしたりするので、船での輸出や輸入はとても時間がかかります。
一番の問題点は赤道直下を通過するときのコンテナの最高温度が70度に達することです。
ドッグフードが自然発火するとしたらここが最も大きな危険地点になります。
何万kgもの自然発火装置を積んでいるのと同じです。
先ほど書いた通り、エトキシキンは気化しやすいので一番安全な酸化防止剤となり人命を守るためにドッグフードには必要な処置とも言えます。
人の命を守るのか、犬の健康を守るのかを考えたときやはり人が優先されるのは当然なのかもしれません。
安心が欲しいなら
- 日本のドッグフードにエトキシキンを添加する意味がないので、価格は高価でも添加物が少なく肉や魚の配合が多いフードを購入する。
- エトキシキンから受けるダメージを減らすために、海外製のフードに手作りご飯か日本製のフードと混ぜて与える。
- 完全手作りに移行する