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犬の一生は歯で決まる!歯磨きはいつ始めても遅すぎることはない

この記事でお伝えする内容
  • 歯周病の恐ろしさ
  • 歯磨きはいつから始めても大丈夫
  • 愛犬の歯周病から守れるのは飼い主さん
目次

犬の歯周病の恐ろしさ

Dr.Wandel(ドクターワンデル)

人間同様、犬も歯磨きをしないと歯垢が蓄積し、それが硬化して歯石になり、細菌が繁殖して歯茎に炎症を引き起こし、最終的に歯周病へと進行します。

口臭が気になるのは歯周病かも。犬の歯周病の治療法、予防まで解説!(アニコム損害保険)

Dr.Wandel(ドクターワンデル

歯周病は犬の健康に影響を与えるだけでなく、場合によってはその一生を左右する重大な要因となり得ます。歯周病が引き起こす全身疾患(心臓病、腎臓病、肝臓病など)は、単に寿命を短くするだけではなく、犬の生活の質(QOL)を著しく低下させます。

犬の歯周病は重度になるとどうなるの?治療法や費用、口内のケアなど詳しく解説します(楽天インシュアランスプランニング)

歯周病が恐ろしい理由
  • 歯周病になっていることに気がつかない
  • 治療が遅れると元の健康な歯に戻れない
  • さまざまな病気を引き起こす

歯周病が恐ろしい理由1

歯周病になっていることに気がつかない

Dr.Wandel(ドクターワンデル)

歯周病は初期段階ではほとんど目立った症状を示しません。歯周病は以下のような小さな変化から始まります。

  • 軽い口臭がする
  • 歯茎が少し赤みを帯びる
  • 歯に薄い歯垢が付着している
Dr.Wandel(ドクターワンデル)

これらの症状は、普段から犬の口の中をチェックしていなければ見逃してしまいます。犬は日常的にしっかりと口を閉じているため、飼い主さんが口の中を確認しない限り、異常を発見する機会はほとんどありません。

歯磨きの習慣がない家庭では、こうした小さな変化に気づくことがさらに難しくなります。たとえ変化に気がついても「これくらいなら大丈夫」と楽観視され、歯周病が放置されるに至ります。

歯周病が恐ろしい理由2

治療が遅れると元の健康な歯には戻れない

Dr.Wandel(ドクターワンデル)

歯周病を放置すると病状が進行し、歯槽骨(歯を支える骨)歯茎の不可逆的な破壊が発生します。ここまで進行すると元の状態に戻すことがほぼ不可能になります。

歯石により歯槽骨が破壊されて、口と鼻が通じてしまったワンちゃんの治療(フジタどうぶつ病院)

歯周病の最終段階

歯槽骨の破壊

歯周病が進行すると、歯を支える歯槽骨が徐々に溶けていきます。

この骨の破壊は自然に再生することが難しく、一度失われた歯槽骨を元通りにすることはほとんど不可能です。歯槽骨が失われると歯がぐらつき、最終的には脱落します。

歯茎の後退

炎症により歯茎が後退すると、歯の根元が露出します。

この段階では歯茎が本来の位置に戻ることはなく、細菌や刺激に対する防御力が著しく低下します。歯槽骨の破壊が促進され、歯の支えが完全に失われます。

歯の脱落

歯槽骨や歯茎の損傷が進むと、歯を支える構造が失われ、歯が自然に抜け落ちます。抜けた歯を元に戻すことは不可能で、口腔内の機能回復には高度な外科的治療が必要となります。

慢性的な炎症

歯周病が進行すると歯茎の炎症は慢性化します。炎症が継続すると、周囲の組織が次第に損傷し、悪循環が止まらなくなります。その結果、口腔内全体の健康が損なわれます。

犬の歯に多い病気(犬の歯医者さん)

歯周病が恐ろしい理由3

さまざまな病気を引き起こす

Dr.Wandel(ドクターワンデル)

歯周病は口腔内だけではなく、一見すると歯とは無関係に見える病気も引き起こします。歯とは関係がないように見えるため、多くの飼い主さんが、原因が歯周病にあると認識しにくいのが現状です。

この誤解が結果として、「歯のケアはそこまで重要ではない」という誤った判断を招きます。

歯周病が引き起こす全身疾患のリスク(けいこくの森動物病院)

犬の歯周病と関連のある病気

心臓病(細菌性心内膜炎)
Dr.Wandel(ドクターワンデル)

歯周病が進行すると細菌が血流を通じて心臓に運ばれ、心内膜や心臓弁に感染します。

感染すると細菌性心内膜炎が発症し、心臓の弁が損傷します。この病気は心臓のポンプ機能を低下させ、最終的には心不全へと進行します。

心臓にも?!歯周病の本当の怖さ(ごとふ動物病院)

腎臓病(慢性腎不全)
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歯周病によって血流に入り込んだ細菌や炎症性物質は、腎臓のフィルターである糸球体にダメージを与えます。

その結果、慢性腎不全が発症し老廃物の排出が正常に行われなくなります。この状態になると体内の毒素が増加し、全身の代謝機能を低下させます。

歯周病と腎臓病(岡本動物病院)

肝臓病(肝炎・肝硬変)
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歯周病の細菌が肝臓に到達すると、肝臓に炎症を引き起こし肝炎が発症します。

さらに放置すると、肝臓組織が硬化し肝硬変へと進行します。肝硬変になると肝臓の解毒機能が失われ、体内の有害物質が蓄積します。

肝臓病?犬の血液検査でALPなどの数値が高いと言われたら。【獣医師コラム】(POCHI)

糖尿病の悪化
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歯周病はインスリンの働きが悪くなるため、糖尿病を悪化させます。

すでに糖尿病を患っている犬の場合、血糖値のコントロールができなくなり、症状が重篤化します。結果として多飲多尿や体重減少、さらには合併症を引き起こします。

糖尿病と歯周病の関係(動物メディカルセンター)

鼻腔炎・副鼻腔炎
Dr.Wandel(ドクターワンデル)

歯周病による炎症が鼻腔や副鼻腔に及ぶと、鼻腔炎や副鼻腔炎を引き起こします。

この場合、鼻水やくしゃみ、呼吸困難といった症状が現れます。上顎の歯周病が重篤化すると、この病気が発症します。

歯磨きはいつから始めても大丈夫

Dr.Wandel(ドクターワンデル)

犬の歯磨きはいつ始めても遅いということはありません。たとえ今まで歯磨きをしていなかったとしても、今日から始めることで愛犬の体質を大きく改善できます。

歯磨きは口腔内トラブルの悪化を防ぐ力がある

Dr.Wandel(ドクターワンデル)

たとえ歯垢や歯石がすでに溜まっていたとしても、歯磨きを始めることでさらなる悪化を防ぐことができます。歯周病の予防や悪化の防止には、毎日のケアが効果的です。

歯石がひどい場合は動物病院でスケーリング(歯石除去)を行い、その後のケアとして歯磨きを習慣化することが重要です。

高齢犬でも歯磨きの効果は絶大

Dr.Wandel(ドクターワンデル)

高齢犬は若い犬に比べて歯周病のリスクが高く、進行も早いです。歯周病が悪化すると、歯茎の炎症や歯の脱落、さらには顎骨の損傷を引き起こします。

高齢犬の場合、全身麻酔を伴うスケーリングや歯科治療が体に負担をかけるため、若い犬ほど容易に治療ができません。そのため、歯磨きによる予防が最善の策になります。

今日から始めることが将来の病気予防につながる

Dr.Wandel(ドクターワンデル)

多くの病気は口から始まると考えられています。口が体内への入り口であり、細菌やウイルスが最初に侵入する場所だからです。

歯を清潔に保つことは、口腔内の細菌の繁殖を抑え、病気の発症リスクを大幅に減らす効果があります。

そのため、歯磨きを始めるタイミングが遅いからといって、無駄になることは決してありません。むしろ、今後の健康を守るために重要な一歩です。

犬の歯周病を守れるのは飼い主さん

Dr.Wandel(ドクターワンデル)

歯周病は口腔内だけでなく全身に悪影響を及ぼす危険な病気ですが、これを防ぐのは日々のケアだけです。愛犬が快適で長生きできるかどうかは、毎日のちょっとしたケアが左右します。

飼い主さんがするべき役割
  • 定期的な歯磨き
  • 適切な食事
  • 口の中をチェックする

定期的な歯磨き

Dr.Wandel(ドクターワンデル)

歯垢は食べ物の残りや細菌が歯の表面に付着してできるもので、放置すると数日で歯石へと変化します。この歯石が歯周病の原因となるため、歯垢が歯石に変わる前に除去することが重要です。

【動画でわかる】犬の歯みがき方法をプロが解説(LION)

定期的な歯磨きにより、歯垢の形成を防ぐことができます。最初は歯ブラシに慣れさせることから始め、口の周りや歯に触れる練習を行い、徐々に本格的な歯磨きへ移行しましょう。

適切な食事を与える

Dr.Wandel(ドクターワンデル)

硬いドライフードは噛む際に歯垢を除去する効果があるため、歯の健康維持に効果があります。柔らかいウェットフードや甘いおやつを頻繁に与えると、歯垢や歯石がつきやすくなります。

良い食事選びのポイント

ポイント
歯垢を防ぐドライフード

高品質なドライフードを主食とすることで、歯垢の付着を減らせます。

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ポイント
デンタルケア用のおやつ

歯磨きが難しい場合でも、デンタルガムなどのケア用品を食事の補助として与えると効果的です。与えすぎは肥満や消化不良の原因となるため注意が必要です。

ポイント
栄養バランス

歯と歯茎を強く健康に保つためには、カルシウムやリンなどのミネラル、ビタミンD、ビタミンCといった栄養素が重要です。

これらがバランスよく配合されている食事を摂ることで、歯のエナメル質や歯茎が健康になり、歯周病になりにくくなります。

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口の中をチェックする

Dr.Wandel(ドクターワンデル)

犬は口の中の異常を言葉で伝えられないため、飼い主さんが日頃から口の中をしっかり見てあげることが重要です。

チェック
歯茎の状態

健康な歯茎はピンク色で引き締まっています。赤く腫れている、出血している場合は炎症の兆候です。

チェック
口臭

犬の口臭は軽いものですが、強い悪臭がある場合は歯周病や口内感染を疑う必要があります。

チェック
歯の色や状態

白くきれいな歯が理想ですが、黄ばみや黒ずみが見られる場合は歯垢や歯石の蓄積が進んでいます。

犬の歯周病を早期発見!チェックリストと対処法(大阪梅田ペットクリニック)

もし異常が見つかった場合

軽度の異常:歯垢の付着や軽い口臭

歯に薄い黄ばみが見える、あるいは軽い口臭がする場合は、歯垢が溜まり始めているサインです。

この段階では日々の歯磨きを丁寧に行い、歯垢を除去することで十分に対応できます。

デンタルケア用のおやつや飲み水に混ぜる歯垢防止剤を活用すると、歯石の形成を効果的に防ぐことができます。

中程度の異常:歯茎の赤み、腫れ、強い口臭

歯茎が赤く腫れている、出血している、または強い口臭がする場合は、歯肉炎や初期の歯周病の可能性が考えられます。

この段階では自宅ケアだけでは改善が難しいため、速やかに動物病院で診察を受けることが必要です。

獣医師による歯石除去や炎症を抑える処置を受けた後は、指導されたケア方法を家庭で実践し、口腔内を清潔に保つようにしましょう。

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重度の異常:歯がぐらついている、歯茎からの出血

歯がぐらついている、歯茎からの出血がひどい、あるいは食べ物を噛むのを嫌がる場合は、歯周病が進行している状態です。

このような場合は緊急性が高いので、早めに動物病院での診察と治療が必要です。

治療には歯石除去や、場合によっては抜歯などの外科的処置が行われます。その後は獣医師の指示に従い、治療後のケアと予防を徹底していきましょう。

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この記事の重要なポイント

犬の歯周病の恐ろしさ

歯周病の初期症状は軽い口臭や歯茎の赤みなど見過ごされがちですが、放置すると歯槽骨の破壊や歯の脱落など元の状態に戻せないほど深刻なものです。

心臓病や腎臓病、肝臓病など一見歯と関係のない疾患を引き起こすこともあります。

歯磨きはいつ始めても遅くない

高齢犬は歯周病のリスクが高いため、歯磨きを習慣化することが重要です。たとえこれまで歯磨きをしていなかったとしても、今日から始めることで歯周病の進行を抑えられます。

歯磨きは、愛犬の健康と寿命に関わる基本的なケアです。

飼い主さんができる日常のケア

愛犬の健康を守るためには、定期的な歯磨き、栄養バランス、そして口内チェックが重要です。

歯茎の状態や口臭、歯の色をチェックして、異常があれば動物病院で診察を受けて治療してもらいましょう。

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